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フェルメール《水差しを持つ女》が初来日【招待券プレゼント 】

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「フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」展(2016年1月14日〜3月31日)が、森アーツセンターギャラリー(東京・六本木)で開催。日本初公開のフェルメールとレンブラントの作品に注目が集まる一方で、当時の画家たちが描いたオランダ黄金時代の社会の様相や市民の日常生活を切り取った作品も見どころです。1月13日に開催された内覧会レポートで、この展覧会の魅力の一端に迫ります。

光のフェルメール、闇のレンブラント 魅惑の競演

 展覧会の目玉となるのは、日本でも絶大な人気を誇るヨハネス・フェルメール(1632〜75)の《水差しを持つ女》(1662頃)と、17世紀のオランダが誇る巨匠・レンブラント(1606〜69)の《ベローナ》(1633)。今回がともに日本初公開となります。

vermer_mizusashi2.jpgヨハネス・フェルメール 水差しを持つ女 1662頃 ニューヨーク・メトロポリタン美術館蔵 
Marquand Collection, Gift of Henry G.Marquand, 1889 Photo credit:Image copyright 
© The Metropolitan Museum of Art. Image source:Art Resource,NY

 「光の画家」と称されるフェルメールは、この《水差しを持つ女》でも、光が射す室内で水差しを手にする女性の一瞬のしぐさと表情を、永遠の命を与えるかのように切り取っています。約30点のみ現存するフェルメール作品を日本で鑑賞できる貴重な機会です。

 一方でレンブラントは、「闇の画家」とも言える大胆な陰影表現で、絵の発注者である裕福な武器商人の妻を、古代ローマの女神ベローナに模して描いています。肖像画に描かれた女性が78歳だと聞いたら、皆さんもきっと驚くことでしょう。肖像画家としてのとてつもない力量とサービス精神が感じられる作品です。

vermer3.jpgレンブラント・ファン・レイン ベローナ 1633 ニューヨーク・メトロポリタン美術館蔵 
The Friedsam Collection, Bequest of Michael Friedsam 1931 Photo credit:Image copyright 
© The Metropolitan Museum of Art. Image source:Art Resource,NY

 もちろんフェルメールとレンブラントの作品は必見ですが、17世紀に黄金時代を迎えたオランダ絵画の、驚くほど層の厚い作品群から、何を感じとり、何を知ることができるかが、本展をより楽しむためのポイントとなります。18世紀以降も宗教画や歴史画が中心が続く地域があるなか、オランダにおいて新たに開花し、独自の発展をみせた絵画のジャンルがいくつもあったということは注目すべき見どころです。

建築画、海洋画、風俗画 
多彩なアングルから黄金時代のオランダにアプローチする楽しみ

 黄金時代のオランダ絵画を理解するうえで、本レポートでは「建築画」「海洋画」「風俗画」の3つの分野にスポットを当てていきます。

 17世紀のオランダには、数は少ないながらも、「建築画」を専門とする画家がいました。なかでも本展覧会で展示されているピーテル・サーンレダム(1597〜1665)は、教会の内部ばかりを描いた画家として知られています。

vermer4.jpgピーテル・サーンレダム 聖ラウレンス教会礼拝堂 1635 板に油彩 45×36cm 
ユトレヒト・カタレイネ修道院美術館蔵 
On loan from Old Catholic Parish. In de Driehoek, Utrecht. Museum Catharijneconvent, Utrecht Photo=Ruben Heer

 サーンレダムの《聖ラウレンス教会礼拝堂》(1635)に描かれている教会は現存していませんが、記録によると1512年に完成したゴシック様式建築です。しかし、外壁に設けられた彫像や柱は、多少の装飾性はあるものの、ゴシック様式の教会にしてはあまりに質素な印象をうけます。その謎は、同作家の他の展示作品《マリア教会の翼廊》(1637)の解説パネルによって解けます。マリア教会は11〜16世紀に建設され、教会内部はたくさんの彫像や絵画などで装飾が施されていました。実は《聖ラウレンス教会礼拝堂》の下絵にも、そうした装飾が残っていることが確認されています。なぜなら、16世紀に広がった宗教改革運動によって、カトリックからプロテスタントに転じたオランダが、教会の華美な装飾を禁止したため、最終的にプロテスタント的な質素な佇まいの教会として描かれたのです。建築画からも、当時のヨーロッパの文化事情を垣間見ることができるのは、たいへん興味深いポイントです。

 次に注目するのは、「海洋画」です。オランダが黄金時代を築く基盤となったのは、海洋貿易による莫大な利益でした。当然、画家たちの目も海や船に注がれます。海洋画には、貿易を行う商船をリアルに描いたものもあれば、海戦の様子を劇的に描いたもの、漁船や港の様子を描いたものなど様々な種類がありました。

web5Wierngen.jpgコルネリス・クラースゾーン・ファン・ウィーリンゲン 港町の近くにて 1615〜20頃 板に油彩 42.5×80.7cm 
ロッテルダム海洋博物館蔵 
On loan from Maritime Museum Rotterdam, the Netherlands. 
Purchased with the financial support of the Vereniging Rembrandt

 《港町の近くにて》を描いたウィーリンゲン(1577〜1633)は自身も船乗りであったため、船の構造を熟知しており、非常に正確に船を描いたことが知られています。当時の船や港の様子を知るうえで、これ以上の資料はないでしょう。細部に目を凝らせば凝らすほど、その緻密な描写に引き込まれていくようです。

 最後に、風俗画を紹介します。フェルメールも風俗画家と言えますし、この時代のオランダの巨匠たちこそ、風俗画というジャンルをメジャーにした立役者だったと言えるでしょう。風俗画がこれほどたくさん描かれた背景には、建築画のところでも触れたような時代背景がありました。プロテスタントの国、オランダでは宗教画の需要が少なくなり、絵画の主な発注者は教会や修道院から、裕福な市民に移ります。必然的に絵画の主題は市民の日常生活から選ばれるようになり、風俗画や静物画といったジャンルに画家の力が注がれていったのです。

 ホーホ(1629〜84)の《女性と召使いのいる中庭》は、当時の市民の生活をそのまま現代の私たちに伝えてくれているような絵です。この絵を見て、フェルメ―ルのファンであれば、彼の《小道(小径)》(1657〜58)という絵を思い出した方も多いでしょう。それもそのはずで、なぜならホーホのこの絵の舞台は、フェルメールが生涯を過ごしたデルフトの旧市街だったとされているからです。

web9Hooch.jpgピーテル・デ・ホーホ 女性と召使いのいる中庭 1660〜61頃 ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵 
© The National Gallery, London

「フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」展の招待券を5組10名様にプレゼント!

 「フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」展の招待券を抽選で5組10名様にプレゼントいたします。ご希望の方は、氏名・メールアドレス・住所・「bitecho」の感想をご記入の上、件名を【bitecho「フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」展プレゼント】とし、bitecho@bijutsu.pressまでお送りください。締切は2016年1月31日、当選結果は賞品の発送をもってかえさせていただきます。発送は、締切より約1週間後を予定しております。

フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展
会期:2015年1月14日~3月31日
場所:森アーツセンターギャラリー
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52F
電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~20:00(1月26日、2月2日・9日・16日・23日は17:00まで)※入館は閉館の30分前まで
URL:http://www.tbs.co.jp/vermeer2016/


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