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期待のアーティストに聞く! ICCで大和田俊が新作を発表

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石を用いたインスタレーション作品などを手がける、サウンド・アーティストの大和田俊。2015年12月22日〜2016年3月6日、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]にて、彼の展示が開催されています。「音」を通じて知覚について追求する大和田に、作品について聞きました。

異質なるものと私のあいだに介在する知覚

 今から2億5000万年前、地球上で超大陸「パンゲア」が分裂し、その大きな力によって海洋生物の多くは絶滅したとも言われる。亡骸の一部は石灰岩へと変質し、長い年月をかけ山岳となり、現在それらの一部はセメントや砂利などとして日常に存在する。

 サウンド・アーティストの大和田俊はこの石灰岩に酸性の液体を滴らせ、物質が融解、気化する音を空間へと拡声させるインスタレーション作品を制作。NTT インターコミュニケーション・センター[ICC]新進アーティスト紹介コーナー「エマージェンシーズ!」にて3月6日まで本作《unearth》を展示中だ。

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大和田俊 unearth 撮影=冨田了平

 もともとはハウリングの現象を利用した音響作品を手がけていた大和田だが、活動のなかでしだいにマイクを取り囲む「空気」に着目するようになったという。

「空気を構成する複数の気体や細かな埃は通常、見ることも聞くことできない。その知覚しえない事象をどのように作品の素材として扱えるかを考えるようになりました」。

 本来、石や岩は音を発することはないとされる。しかし作家がある働きかけを行うことで、その潜在性はふいに前景化する。そうした知覚の裏面を、大和田は追求する。

「音響作品は基本的に、聴覚を中心とした知覚への絶大な信頼の上に成り立っていると思う。対して自分は"たまたま対象を知覚できている"という状況に可能性を感じます」。

 そうした偶然性を自覚することによって、異なる知覚を備えるもの同士が思いがけず関係性を成立させること。大和田はそれを「互換性」だと表現する。

「電子機器が備える互換性のように、万物の関係性はコネクターをつなぐかのごとく簡単に生まれるように見えるかもしれない。けれどその背景には、膨大な可能性や偶然性が潜在する。そのことをつねに意識しています」。

文=野路千晶

『美術手帖』2016年2月号「ART NAVI」より)

エマージェンシーズ!027 
大和田俊 unearth
会期: 2015年12月22日〜2016年3月6日
場所:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
住所:新宿区西新宿3-20-2
電話番号:0120-144-199
開館時間:11:00~18:00
休館日:月休(月祝なら火)、2月14日
観覧料:無料

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