荒川医がミュージカル形式の新作インスタレーションを発表

ニューヨークを拠点に活動するパフォーマンス・アーティスト、荒川医の新作個展がタカ・イシイギャラリー（東京・六本木）で開催される。

　1998年よりニューヨークを拠点に活動する荒川医は、多彩な人々との共同作業を通してパフォーマンス作品を手がけている。現代美術作家や美術史家らが演者としてパフォーマンスに参加する一方で、観客たちを即興的に巻き込むことで演者と観客の境界を曖昧するなど、さまざまな共同作業の交差する点を自身の作品としてきた。

　これまで、ピアニストの高橋アキ、サージ・チェレプニンと共同し、詩人、作曲家であり、実験工房のメンバーである秋山邦晴に関する詩やオブジェ、音楽を用いた作品《城の眼/青頭巾》（2013）や、具体メンバーの人間関係について語ったインタビューの文章を音声化し、その音声をバックミュージックに、具体の実物の絵画作品が車輪に載って踊る作品《See Weeds》（2011）を制作してきた。

　本展では、LEDスクリーン5台に映し出される既存の絵画作品が演じるミュージカル形式の新作インスタレーションを発表する。本作は、絵画とパフォーマンスの関係を制度批判的な視点で捉えており、各スクリーンには《See Weeds》に登場する具体作品が1点ずつ映し出され、それらが会話し、歌うことで物語が展開していく。本作を通じて荒川は、具体のグローバルな戦略を現在のアート・マーケットを象徴するアートバーゼルと関係させ、批判精神を持った劇場のなかで再検証する。