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横浜・象の鼻テラスで「演劇とすれ違う」プログラムが23日まで

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2013年の開催以来、さまざまな形の演劇をつくり出しているプログラム「Theater ZOU-NO-HANA(シアターゾウノハナ)」が、横浜の象の鼻テラスにて今年も開催しています。

「Theater ZOU-NO-HANA」は、劇団・ままごとの劇作家・演出家である柴幸男が中心となり、アートスペース兼無料休憩所である横浜の象の鼻テラスにて実施されている、演劇プログラム。2013年より「演劇とすれ違う」をコンセプトに毎年行われています。海に面した開放的な空間で、公園で遊ぶように身近に演劇を楽しむことができます。

 象の鼻テラスは、2009年に横浜市開港150周年を記念し、横浜の歴史と未来をつなぐ空間として、象の鼻パーク内に建てられました。年間を通して、広々とした空間を活かした様々なアートイベントを行っています。

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Photo by Mito Ikeda

 今年の「Theater ZOU-NO-HANA」では、俳優たちが虚構入り交じったガイドを展開する「ゾウノハナツアー」や、スイッチを押すと3〜30秒の小さな演劇が始まる「ゾウノハナスイッチ」などの人気プログラムのほか、クルーズやランチとともに演劇を楽しめるプログラムを実施します。

 港の景色を見ながら体操をしたり、長さ12mのこたつに入る体験型のプログラムも。最終日の23日もほとんどのプログラムが実施されます。事前予約制のプログラムもあるので、開始時刻等、詳しくは公式ホームページをご覧ください。

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Photo by Mito Ikeda
Theater ZOU-NO-HANA 2015
会期:2015年12月18日、19日、20日、23日
場所:象の鼻テラス、象の鼻パーク、京浜フェリーポート、Charan Paulin(チャランポラン)
住所:横浜市中区海岸通1丁目
電話番号:045-661-0602
開館時間:12:00~19:00
URL:http://theaterzou2015.tumblr.com/

構成・演出: 柴幸男(ままごと
空間デザイン: 安藤僚子(デザインムジカ)
宣伝美術: 飯田将平(ido)+深川優(ido)
衣装: 瀧澤日以(PHABLIC×KAZUI)
制作: 宮永琢生(ままごと|ZuQnZ)+加藤仲葉(ままごと
主催:一般社団法人mamagoto、象の鼻テラス

 一緒に身体を動かすもよし、演劇を鑑賞するもよし、海を眺めてもよし。楽しみ方はあなた次第。演劇とすれ違ってみませんか?


近藤聡乃が浮世絵師に! 若手職人たちの挑戦【浮世絵制作編】

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江戸時代、葛飾北斎、歌川広重、東洲斎写楽、喜多川歌麿といった多くの絵師を世に送り出した浮世絵。いまも、当時と変わらない方法で浮世絵版画を制作している職人たちがいるのをご存じでしょうか? 今回、アーティスト・マンガ家の近藤聡乃とともに、20〜30代の若手職人たちが、新たな浮世絵の制作にのぞみました。その取り組みをご紹介します。(近藤聡乃のインタビューはこちら

量産された浮世絵版画

 浮世絵には、大きく分けて「肉筆浮世絵」と「浮世絵版画」とがあります。「肉筆浮世絵」は、絵師が紙や絹の上に直接描いた一点ものの浮世絵。対して「浮世絵版画」は、絵師が描いた原画をもとに、彫師(ほりし)、摺師(すりし)と呼ばれる職人たちが制作した木版画です。

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近藤聡乃の木版画作品《貝》の版木。版木自体がまるでレリーフ作品のよう。作品の輪郭線の部分の版木は、もっとも重要

「波間の富士」「Great Wave」などの愛称で親しまれている葛飾北斎(かつしかほくさい)の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」(天保初年)は、後者にあたります。北斎が描いた原画をもとに、複数名の彫師、摺師が多色刷りの版画を制作しました。版画ですので、同じ図柄を複数枚制作できます。当時人気を博したこの作品は、数千枚摺られたと言われています。これらは数多くの所有者の手を経て、現在は世界中のコレクター、美術館、博物館の所蔵となっています。

浮世絵版画の制作は分業制

 多くの方が、小学生の頃に図画工作の授業で版画をつくったことがあるのではないでしょうか。下絵を描いたあと、その図柄を彫刻刀で板に彫って、バレンという円盤状の道具を使って紙に図柄を写しとる。おおむね、そのような制作順序だったと思います。

 浮世絵版画の制作は、この作業を複数名で分担します。版画の原画を描くのは「絵師」の仕事、版木を彫るのは「彫師(ほりし)」の仕事、和紙に絵柄を摺るのは「摺師(すりし)」の仕事です。

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木版画の摺りの行程。竹皮にくるまれた円盤状の道具はバレン(馬連)。和紙の繊維の中に絵具をきめ込む摺の仕事は想像以上の力仕事

 浮世絵版画は、いまでこそ美術館に収められ、オークションで高額取引されていますが、江戸時代当時は、その大半が庶民が気軽に購入できる商品でした。生産や流通のシステムは、現在の出版物に近いと言えます。浮世絵は、鑑賞の対象であると同時に、マスメディアとしての役割も担っていたのです。

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近藤聡乃の木版画《貝》の版木を彫る。浮世絵版画では江戸時代から堅い山桜の木を用いる。使用する刀は薄く鋭い

 日本の木版画の多色刷りの技術は、およそ250年前に確立されました。その後、浮世絵師、彫師、摺師、それぞれの分野の専門職が高度な技術を習得し研鑽を積むことで、他に類を見ない印刷文化を発展させていったのです。当時、これほどの高精細のフルカラー印刷が安価に庶民の間に普及した文化は、世界を見渡しても日本だけです。

受け継がれる匠の技、現代の彫師・摺師

 この木版印刷の文化は、日本の近代化の流れのなか、他の印刷技術の普及とともに衰退していきました。しかし、どんなに機械印刷が進化しても、日本独自の木版画の表現にかわり得るものはないでしょう。「彫師」「摺師」の技術は、江戸時代から途絶えることなく、職人の手から手へ、21世紀の現代にまで受け継がれています。

 この伝統的な木版画制作の技術継承に努める財団法人の養成支援プログラムを経て、現代の彫師、摺師として活躍している若手職人たちが、今回、近藤聡乃と共ともに、新たな浮世絵制作に挑みました。

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新たに制作された近藤聡乃の木版画作品《貝》

 彫師は、山桜の堅い板に、近藤聡乃が描いた原画の線を彫り、さらに多色刷りのために必要な色の部分の版木を彫りました。摺師は、彫師が彫ったこれらの版木を用い、手漉きの和紙に、まずは線の部分、そして色の部分を順々に摺り重ねていきます。

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版木を制作する若手彫師。工房に入って9年目、責任ある仕事を任されるようになったが、修行に終わりはない

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版木の上に和紙を置くときは、版木につけた「見当」といわれる小さな印に和紙を合わせる。大量の枚数の版画を摺りながら図柄がずれないようにするには、水分を吸った和紙と版木の伸縮率をコントロールする几帳面さが必要

 近藤聡乃も魅了された、浮世絵版画のシャープな線、和紙の中にきめこまれた絵の具の深い色合い。彼らは親方たちのもとで、北斎や広重などの過去の作品の復刻に取り組みながら、何年もの修行を積んで先人の技と知恵とを学んできました。そして今回、同世代のアーティストである近藤聡乃を浮世絵師として迎え、21世紀の浮世絵を制作したのです。

伝統の上の新たな歩み、同時代のアーティストとともに

 写真に写った若い職人たちの姿に見覚えのある方もいるかも知れません。今年(2015年)のお正月のテレビ番組で、現代アーティスト・草間彌生の描いた富士山の作品を木版画で制作するプロジェクトが紹介されました。そのとき、番組の中に登場した職人たちが、彼らです。(bitedhoのニュース記事でもご紹介しています。「水玉の数は1万4685! 草間彌生の描く現代の浮世絵が公開」

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アダチ版画研究所の職人とアダチ伝統木版画技術保存財団の研修生。親方たちと

 江戸時代、浮世絵とは流行を映し出す鏡であり、その時代の最先端を行くメディアでした。版画制作の技術は、同時代のアーティストと協同し、より多くの人たちの目を喜ばせ楽しませるものでありたい。いつの時代にあっても、それが職人たちの願いであり、いまに活きる技術として次代に受け継いでいく意義だと言います。彼らは、こうした日々の版画制作のほか、この技術と文化を多くの人に紹介するため、日本国内にとどまらず世界各国で、制作の実演会なども行っているそうです。

MM0023_24.jpgリュブリャナ民族学博物館で行った摺の実演会は立ち見が出るほどの盛況。国内外の美術館、博物館で実演を行い、伝統木版の技術を多くの人々に伝えている

 日本が世界に誇る文化を、時代に即したものとして継承していこうと励む、若い職人たちの今後にぜひ期待していです。彼らや、さらに彼らの後輩の若い職人を応援したい方、近藤聡乃の浮世絵に興味がある方は、公益財団法人アダチ伝統木版画財団へお問合せください。

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近藤聡乃が浮世絵師に! 若手職人たちの挑戦【インタビュー編】

地点✕空間現代 革命詩人マヤコフスキーを笑い飛ばして介錯!

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現代演劇界で注目を集める劇団「地点」が、オルタナティブ・ロックバンド「空間現代」と組んで、ロシア革命時代の詩人マヤコフスキーによる戯曲『ミステリヤ・ブッフ』を舞台にかけました。そんな想像しがたい刺激的な試みが、「フェスティバル/トーキョー15(F/T15)」のプログラムとして行われました。

原作は「ノアの方舟」のパロディ

 演出家・三浦基が率いる「地点」は、戯曲を解体、再構築しながら、その本質を引き出そうとする劇団。カットアップされた言葉、区切りやアクセントを変えた「地点語」なる独特の発語、大胆な空間構成、それらに関連した新奇な身体性を特徴としています。一方の「空間現代」は、ギター、ベース、ドラムの3ピースバンド。ライブで音飛びや合成を試みたり、変拍子や変則的展開を多用したりと既成の音楽のセオリーを脱構築し、異彩を放っています。

 2013年、ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒト(1898〜1956)の戯曲『ファッツァー』で実現した両者の初競演では、空間現代が発する音を弾丸に見立て、それに撃たれると役者が倒れてしゃべれなくなる、という演出で、演劇と音楽のストイックな合戦を繰り広げました。

 その彼らが挑んだ2作目が、ロシア・アヴァンギャルドを牽引した革命詩人ヴラジーミル・マヤコフスキー(1893〜1930)による『ミステリヤ・ブッフ』。1918年、十月革命の1周年記念日に、現代演劇の原点ともいわれる演出家フセヴォロド・メイエルホリドによって上演された本作は、革命の嵐により絶対王政の古い世界が一掃されていく現実を「ノアの方舟」の大洪水に重ねてパロディ化しています。

 はじまりは、大洪水に沈んでいく世界。7組14人の清潔な人々(ブルジョア)と、7組14人の不潔な人々(プロレタリア)が、方舟に乗って、宇宙へ、天国へ、地獄へ、廃墟へ、そして約束の地に到達します。社会主義による理想社会への期待を込めて創世物語(ミステリヤ)を道化芝居(ブッフ)に落とし込んで笑い飛ばす祝祭劇であり、社会的な制約やヒエラルキーを超えて新たな世界をつくり出そうとするエネルギーが込められていました。

前で役者が走り、横で音楽が鳴る、円形舞台

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天井からは数十個のミラーボールが吊るされ、壁からも時々煙が吹き出している

 今回の舞台は、廃校舎を利用した、にしすがも創造舎(東京・巣鴨)のホール。サーカス小屋のアリーナを模したという円形の舞台はドーナツ状の二重構造で、真ん中の穴から白い煙が立ちのぼり、縁取るように並んだライトが音に合わせて明滅するというもの。それを取り囲む客席の円周上の3か所に、空間現代の3人が位置しています。

 曲げ木椅子を頭に載せてバランスをとりながら、「方舟建造に賛成の方は挙手願います」と第一声を発した女性に続き、登場した役者は計6人。衣装はいずれもくすんだ色味の布を継ぎ接ぎしたフード付きのコートで、誰がブルジョアで誰がプロレタリアの役なのか、ひと目では判然としません。

 パンフレットにあったマヤコフスキーによるスケッチでは、ブルジョアは曲線と明るい色で、プロレタリアは直線と暗い色で描かれ差別化されていましたが、そうしたわかりやすい差異は本公演では見られませんでした。またそれは、一見、格差の問題が見えづらい日本の現代社会と似ていると言えます。

変えていいのに、変えない。だからできる解釈

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椅子は防具になり、枷になり、演説台になり、方舟にもなる。ちなみに原作には「天国に椅子はありません」という台詞がある

「胸板チャオ、革命ボンジョルノ、健康ブラボー、皆の衆ボナセーラ、悪魔チャオ」。ブルジョアを演じる役者が舞台の中央で銃を撃ちながら、ナンセンスなギャグを連発します。演出家の三浦によれば、「原作通りにおもしろおかしく、できるだけ滑稽につくることにつとめました」とのこと。ところが皮肉なことに、それらが降り注ぐ様は、「笑えない現状」を浮き彫りにしているようにも見えるのでした。

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観客と舞台を隔てていた仕切りは途中舞台に上げられ、役者が舞台と客席の間を走り回り、客席と舞台の境界がないカオス状態に

「これは大地が大砲のように吠えて、俺たちのことを訴えたのだ。これは血に酔った野原を流れる河を、俺たちが増水させたのだ。俺たちはここに立つ、戦争の帝王切開により大地の腹から引き抜かれて。俺たちは褒めたたえる、反乱や、暴動や、革命の日を。ずきずきする頭蓋を感じながら歩みつづけるきみを!」

 東日本大震災を彷彿させるようなこの激烈な台詞は、原作ではプロローグにありますが、今回発せられたのは中盤。全体的に台詞の順番は変わっていますが、内容はほとんど書き換えられていないようです。

 マヤコフスキーはこの戯曲の出版に際して、「将来、『ミステリヤ・ブッフ』を演ずる人、舞台にかける人、朗読する人、またこれを出版する人は、おのおの内容に手を入れ、自分たちの時代に合わせ、身近なものに、新しいものに作り変えてほしい」とメモを付けています。

 彼は本劇初演の12年後に粛清される(当時は自殺と報じられましたが、実際は他殺だったとされています)わけですが、三浦はこれを受けて、「忘れるな、と言われているような気がしてならない。(中略)みんなで、彼を、本当に殺してあげたいのです」と書いています(本公演パンフレットより)。

 そもそもマヤコフスキーの詩や戯曲は「異化」を特徴とし、言葉を従来の意味から解放し、新しい可能性を生み出そうとしました。それは当時ロシア・アヴァンギャルドシーンで流行した「ザーウミ」(超意味言語)ほど言葉から遠く離れたものではなく、むしろ三浦や空間現代の作法に近いと言えるでしょう。

 そういう意味では、内容を変える余地が大いにあった素材だったはずなのに、変えていない。目の前の現実に置き換えたり、特定のメッセージをクローズアップするというように意味を絞りこんでしまわず、むしろ音節レベルまで丁寧に解きほぐして音とともに放つ。だからこそ、1つの単語、セリフに多義性が含まれ、100年前とは違う、多様性に溢れかえった現代において個々に自由な解釈が可能となり、未来へ向けたアジテーションとなり得たのかもしれません。

(文=小林沙友里)

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「彼ら 楽しくなって 倒れていった 決して許さなかった ものよ もの たちよ」。終盤、空間現代が、方舟の甲板に現れた聖者たちを楽園へ誘う「ただの人間」の台詞を歌詞として発した
地点×空間現代 『ミステリヤ・ブッフ』
公演日:2015年11月20日~11月28日(終了)
会場:にしすがも創造舎
作:ヴラジーミル・マヤコフスキー
演出:三浦 基
出演:安部聡子、石田 大、小河原康二、窪田史恵、河野早紀、小林洋平
音楽:空間現代(野口順哉[guiter/vocal] 古谷野慶輔[bass] 山田英晶[drums])
上演時間:約90分

ビートたけしの作品100点!「アートたけし展」2月25日より

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お笑いや映画などの分野でマルチに活動している、ビートたけし。彼のアート作品約100点を通覧する「アートたけし展」が、松屋銀座(東京)にて、2016年2月25日〜3月7日に開催されます。

 ビートたけしによるアート作品を通覧する展覧会が、松屋銀座(東京)にて2016年2月25日〜3月7日に開催されます。今回展示される作品は、版画・絵画・立体など、ほとんどが初公開となる約100点。作品は「ノンタイトル」、展示は「ノンコンセプト」がつらぬかれています。

 本展は2016年2月の松屋銀座を皮切りに、阪急うめだ本店(大阪)、みやざきアートセンター(宮崎)、金沢21世紀美術館(石川)と、全国を巡回していきます。

 アートの分野では、2010年にカルティエ現代美術財団(フランス・パリ)で開催された初の個展「BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展」に、13万人以上が来場。同展は、12年に東京オペラシティ アートギャラリー(東京・初台)にも巡回しました。

 彼にとって、無心で没頭できる「最高の遊び」だという、アート作品の制作。制作に毎晩集中し、気がつくと朝になっていることも多々あるそうです。「オイラの絵とか並べて展示とかしてみたら、見て喜んでもらえたりするかなぁ?」という、彼自身の発案から開催が決まった本展。大人も子どもも楽しめる、ユーモアたっぷりの展覧会となりそうです。これまでにないビートたけしの世界観をお楽しみください。

ビートたけしのアートが100点!「アートたけし展」
会期:2016年2月25日~3月7日
会場:松屋銀座8階イベントスクエア
住所:東京都中央区銀座3-6-1
電話番号:03-3567-1211(松屋銀座大代表)
開館時間:10:00~20:00(入場は30分前まで。最終日は17:00閉場)
入場料:大人 1,000円(700円)、高大生 700円(500円)、中学生 500円(400円)、小学生 300円 ※( )内は前売料金
主催:オフィス北野、テレビ朝日、朝日放送、ViViAテレビ朝日映像
後援:美術出版社
URL:www.art-takeshi.com

巡回予定:
 2016年3月中旬 阪急うめだ本店
 2016年4月29日〜6月5日 みやざきアートセンター
 2016年夏 金沢21世紀美術館 市民ギャラリー
 2016年9月2日〜10月10日 福岡アジア美術館
 2017年春 長崎県美術館
 2017年秋 名古屋
 ...ほか、全国巡回開催予定

 美術出版社では、「後援」としてこの展覧会の広報事業全般を支援。さまざまなかたちで「アートたけし展」を盛り上げていきます!

日本とインドネシアの鬼才が共鳴! 天明屋尚×インディゲリラ展

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2015年11月25日〜12月26日、東京・ミヅマアートギャラリーにて「天明屋尚×インディゲリラ展」が開催しています。自国の文化を洞察し、時代と呼応しながら現代における民族性や価値観を鋭く表現する天明屋とインディゲリラ。日本とインドネシアの最先端の現代アーティストがおくる、夢のコラボレーションです。

 天明屋尚(てんみょうや・ひさし)は1966年、東京生まれの現代美術作家です。レコード会社でのアートディレクターの仕事を経て、2000年に日本画に現代風俗の要素を取り入れた独自の絵画表現「ネオ日本画」を標榜し、権威主義的な美術体制に対して絵筆で闘う「武闘派」を旗揚げしました。本展では、1997年から始まる代表作「Japanese Spirit」シリーズの新作群を発表します。

 インディゲリラは1975年生まれのミコと1977年生まれのサンティによって1999年に結成された夫婦アーティスト・デュオです。ともにインドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校の出身で、サンティは視覚デザイン、ミコはインテリアデザインを専攻しました。その後、現在までジョグジャカルタを拠点に活動を続けています。ジャワの民俗学についての深い知識と現代の都市生活についての興味を活かした作品は、ポップな印象ながら洗練された視覚効果と実験的な表現手段が注目を集め、国内外で高く評価されています。本展は日本初となるインティゲリラの本格的な展覧会です。

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天明屋尚 机器人明王図(ろぼっとみょうおうず) 2015 アクリル絵具、木、ブラックジェッソ 200×145cm ©TENMYOUYA Hisashi Courtesy Mizuma Art Gallery

 インディゲリラが天明屋尚の活動に強く惹かれたことをきっかけに、昨年シンガポールで開催されたダブルキュレーション展、そして今回のコラボレーション展が実現しました。

天明屋尚×インディゲリラ展
会期:2015年11月25日~12月26日
場所:Mizuma Art Galley
住所:東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
電話番号:03-3268-2500
開館時間:11:00~19:00
休館日:日、月、祝日

 経済や文化において近年急速に関係を深めつつある日本とインドネシア。二国の「今」を象徴する、人気作家のコラボレーションをお見逃しなく!

昭和の東京を描いた超絶技巧の水墨画 山口英紀インタビュー

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水墨画の学習は、古典絵画の模写を基本とします。手本となる絵画を脇に置き、それを模写することを「臨模(りんも)」と呼びます。水墨画を学ぶ者は、技術の習熟のために臨模をくり返します。一見すると写真にしか見えない山口英紀の水墨画は、この臨模によって制作されています。古典絵画の手本の代わりに、写真をかたわらに置き、それを筆で模写するのです。『美術手帖』の特集「超絶技巧!!」(2012年10月号)でも紹介された山口による個展「追懐」が、日本橋髙島屋美術画廊Xで開催されています。個展会場で、山口にインタビューを行いました。

──今回の個展会場には、様々なサイズ、形状の画面の作品が並んでいます。どういったテーマの作品なのでしょうか。

 今回の個展は、3本柱で構成しています。一つ目は、会場である髙島屋さんから昭和時代の髙島屋の写真資料をお借りして描いた作品です。二つ目は、昭和25(1950)年から昭和41(1966)年までの年賀はがきの上に、小さな水墨画の作品を貼り込んだ「追懐」という名前のシリーズ。三つ目は、取り壊し前の国立競技場とその周辺の風景を描いたものです。

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個展会場で作品について語る山口英紀

──「追懐」シリーズで年賀はがきを使用しようと思ったきっかけは?

 はがきは知人から譲り受けたものです。年賀はがきなので、それぞれのはがきに年号が入っています。年号ごとに通常のものと寄附金付のものとの2種類を用いています。寄附金付はがきがない年もありますが。

 この年賀はがきの一連の年号とリンクする作品を描きたいと思って題材を探していました。そんなときに、東京都庁生活文化局が保管している昭和の写真資料のことを知ったんです。それで、はがきの規格が変わる昭和41年までを一つのシリーズとして揃えようと思いました。会場のこの一番長い壁面を全部はがきの作品にしたいな、と。

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画廊の長い壁に年賀はがきを用いた《追懐》シリーズが並び、正面の壁にはパノラマで展開する《七里香》と《九里香》が掛かっている

──マッチ箱くらいの小さな画面に緻密に風景が描かれていますね。

 この東京の古い街並みは、東京都庁生活文化局に申請し提供していただいた写真をもとに描いています。たとえば昭和32(1957)年の年賀はがきに描いているのは、昭和31年に撮影された写真をもとにした作品です。年賀はがきは、前年に発行されるものですから。その上に、自分の落款(らっかん)とともに「東京都文化局提供」という文字を、これも自分で篆刻(てんこく)した印で押しています。

──作品のもととなる写真資料は、どのような基準で選ばれたのですか?

 東京都が管理している公的史料ですので、その年に開通した交通機関の写真などが比較的多くなりました。とくに昭和30年代は、東京オリンピックの開催に合わせて、鉄道やバス路線の開通が相次いだので。当時の乗り物のデザインをかっこいいと思ったんですよね。私にとっては生まれる以前の風景ですが、リアルタイムで過ごされた方は、懐かしいかもしれません。あとは、4歳の息子が乗り物がすごく好きなので、その影響はあるかもしれません。(笑)

──日本橋髙島屋の外観を描いた作品《歳月はまぶしかりけり》は、画面が三つに分かれています。ソフトフォーカスの写真のようですが、そのフォーカスのポイントが各画面で異なっていますね。

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山口英紀 歳月はまぶしかりけり 2015 紙本水墨 27.3×27.3㎝(中央)、27.3×16.0cm(左右それぞれ)

 向かって右が1950年代の日本橋髙島屋の外観の写真をもとに描いたものです。中央が1985年頃、そして、左が2015年の現在から2、3年後の設定です。新館の完成予想図をいただきまして、それを参考に現在の髙島屋の奥に新館の建物を描きました。髙島屋の建物(1933年竣工、重要文化財指定)自体はほとんど変わっていないんですが、道路の電柱の形だとか、横断歩道の形や、そこを歩いている人の服装で、なんとなく時代がわかって面白いので、時代性を表すモチーフに焦点を合てて描きました。

──国立競技場とその周辺の風景をパノラマの画面で描いた作品《七里香》《九里香》ですが、このタイトルは、どういう意味でしょうか?

 国立競技場の取り壊しの前に、今回の個展の開催が決まっていたので、都庁の展望台へ競技場の写真を撮りに行きました。そうしたら、競技場を中心にして、ビル群と緑の多いエリアが左右で比較的はっきりと分かれていたんです。それで、左右二画面で展開する画面構成にしました。タイトルも左右で対になるように。「七里香」は沈丁花(チンチョウゲ)、「九里香」は金木犀(キンモクセイ)、それぞれ春と秋を代表する香り高い花木を意味します。

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山口英紀 七里香 2015 紙本水墨 25.0×150cm

──この国立競技場を描いた作品と、さきほどの髙島屋の作品とは、ぼかしの感じが違いますね。

 競技場の風景は、他の風景に比べて、高い場所から俯瞰している分、人の気配がまったくない風景なので、無機質な空間が表現できたかなと思います。遠景のぼかしの部分は、中国・桂林の風景を描いた水墨画にも、こんな感じの遠近感のものがありますね。林立するビルも、桂林の山の感じに似ていると言えば、似ているかも知れません。

 油絵の顔料は、被写体の存在感を出すのに非常に向いています。それに比べると、墨の黒は、物質感を出すにはやや弱いと思います。かわりに、空気感を表現するには、墨はベストの素材だと私は思っています。それがもっとも効果的に現れるのが、水墨画のぼかしの技法でしょう。中心をしっかり据えて、対象物の形を残しながら周りをぼかしていくと、そこに空気感が表現できます。

 写真通りに画面の隅々まで描いてしまうと画面の密度は高くなるのですが、対象物を際立たせようとするときには、周辺の空気感を出す墨のぼかしの表現が有効です。写真をベースにしてはいますが、どこに重点を置くか、墨の濃淡の使い分けなどによって、自分の主観が画面の中に入り込んでいきます。

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国立競技場をテーマにした新作の前で、水墨画の表現について語る山口英紀

──過去の時代の風景と現代の風景とで、描き方に違いなどあるのでしょうか? それぞれの作品に使用している和紙は同じものですか?

 描かれているものが昔のものでも今のものでも、画面を見て「懐かしさ」を感じるような作品をつくりたいと思ったんです。それで今回の出品作品は、あえて和紙を紅茶と墨を使って染めて、古めかしさを出しました。実際に見たことがあるものとないものと、多少意識の違いはあるのかも知れませんが、制作上の差はありません。何を描く場合でも、どこか、写真に写ったものを計測しているような感覚があるんですよね。

──山口さんは、ご自身の作品を「現代美術」と位置づけされていらっしゃるのでしょうか?

 よく肩書きを聞かれるんですけれど、正直、私自身はあまり気にしていないんです。たまたま、画材としての墨と相性が良かったというだけで、作品が現代美術のカテゴリに入るか、肩書きは水墨画家なのか、といったことは気にしていません。最終的に墨で描いているから水墨画ですね、という感じです。

──では、ご自身の技術について、どのように考えていらっしゃいますか?

 以前、私の作品を観た方に「技術も突き詰めれば個性」と言われたことが記憶に残っていて。なるほどなと。墨を重ねて描いていくというのは、本当に古典的な水墨画の描き方なんですけれど、突き詰めていけば作品の精度は上がっていきます。そういう意味で、私の突き詰め方は、まだまだこれからだなと思っています。自分は描く過程が楽しいので、手を動かしながら考えていく感じですね。

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山口英紀 昭和の記憶 2015 紙本水墨 33.3×53.0㎝

──山口さんの制作に対する姿勢は非常にストイックですよね。風景の作品が並んでいるなかで、会場のこの肖像画を並べた一角は雰囲気がちょっと違いますね。

 それは、妻と子どもです。家族を写真に撮って水墨画で描きました。ふたりめの子どもが今年生まれまして、赤ちゃんが妻のお腹にまだいるときと、生まれたあととを主題としたんです。これも時間の流れのテーマのひとつなので。

──では、この子が乗り物好きの息子さんなんですね。次のお子さんが生まれたら、また描くモチーフが変わるかもしれませんね。

 そうですね(笑)。今回の個展は風景画ばかりなので、この壁面だけはちょっと穏やかな感じにしています。

──墨は、保存状態が良ければ何世紀にもわたって後世まで残ります。写真で撮ったものを改めて墨で描くということは、もしかしたら意味のある風景の残し方なのかもしれませんね。本日はありがとうございました。

PROFILE
山口英紀(やまぐち・ひでのり) 1976年、千葉県木更津市生まれ。筑波大学大学院修士課程芸術研究科修了。2002〜2004年、中国美術学院に留学(文部科学省推薦)。

ー水墨最前線2015ー山口英紀「追懐」
会期:2015年12月9日~28日
場所:東京日本橋髙島屋6階美術画廊X
住所:東京都中央区日本橋2-4-1
電話番号:03-3246ー4310(直通)
開廊時間:10:00~20:00
休館日:会期中無休
URL:http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/event3/#os5601

上田麗奈と藤ちょこ先生のデジタルペイント講座① まずは体験!

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初心者にもやさしい直感的な操作が可能な多機能・低価格のペイントソフトとして、多くのクリエイターの支持を得るペイントソフトopenCanvasの魅力を、全12回の連載講座でご紹介します。「openCanvas」でのデジタルイラストに挑戦するのは、水彩画とボールペン画が特技という声優の上田麗奈。デジタルイラストの制作はまったく初めてという上田の講師は、同ソフトのメインアートワークを手がけた人気イラストレーター・藤ちょこさんが担当。はたして藤ちょこさん指導のもと、上田はデジタルイラストをマスターできるのでしょうか? 第1回となる今回は、ペンタブレットを使用した操作に慣れてもらいます。

デジタル初心者もスイスイ描ける! アナログと同じ使用感

ここは都内の会議室。声優の上田麗奈、イラストレータの藤ちょこ、そしてopenCanvasの開発チームが集合しました。今回、デジタルペイントに初めて挑戦する上田。みんなが見守るなか、おそるおそるopenCanvasの操作を始めます。

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openCanvasの操作画面。ペンのサイズや濃さ、色などが、この画面上で簡単に操作できる

藤ちょこ(以下、藤):まずちょっと触ってもらうのがいいのかな。これ(上の写真)がスタジオ画面になってまして、白い部分がアナログにおける紙みたいになってます。いま画面中央にあるこのグレーの線の丸がペンと同じ動きをします。画面右にいくつか小さい窓みたいなものが出てますよね。ここで鉛筆のサイズや濃さや色が自由に変えられるんですが、まずはさっそく自由にさわってみてください。

上田麗奈(以下、上田):了解です。これ......こうしても大丈夫? ......あ、大丈夫だった。[画面上のポインターが動く]すごい、この距離でも。

藤:そうです、液晶ペンタブレットは、画面に直接描画できるんです。筆圧もちゃんと効きます。

開発チーム(以下、開発):openCanvasが筆圧を感知してくれるので、紙とペンのときと同じ感覚で描いてみてくださいね。

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ペンタブレットで作画するのも初体験の上田。ちなみに左利き

上田:[おずおずと線を引いてみる]本当だ、すごーい。もう筆圧そのまんまじゃないですか、すごい。こんなハイテクなんですね、いまの機械って......[感激しながらも手を動かし出す]......これは、デジタルで描く人の気持ちが初めてわかりました。すごいなぁ......。[しゃべりながらどんどん手を動かす]

開発:openCanvasに関しては、アナログっぽい質感が良いとお客様に言われることも多いんです。なので、初心者の方でもすんなりとデジタルに慣れることができるかもしれませんね。......上田さんは初めてにしては、けっこう描けている......?

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ペンタブレットを握ってからわずか3分半。早くもopenCanvasの操作に順応し始める上田

藤:そうですね、下書きなしで......。

bt:そのぐらいアナログと感覚が近いってことですよね。説明書とか読まずに始められちゃうものなんですね。

上田:え、全然説明書を読まないで描いちゃってますよ! これ、アナログ! うん、目をつぶったらアナログ!(笑)

藤:「目をつぶったらアナログ」って名言ですよ(笑)。

上田:目をつぶったら何も描けないですけど!(笑) ......[ライオンの頭部をどんどん描き進めていく]すごーい。

藤:画面右上のウィンドウでいろんな種類のペン先が選べて、その下の縦長のウィンドウにあるスライダーを動かすとペン先の太さを変えることができます。これでカスタマイズして自分の描き心地のいいペンを使えます。

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一本の線を引くにも、ペン、鉛筆、マーカー、ブラシといったように様々な画材を選べる。もちろん線の太さも自在に変えられる

上田:すごいよこれ!......[画面上のペン先の種類をいろいろ変えてみる]......は〜、筆圧も読んでくれてる。

開発:すごいすごい言ってるあいだに普通に完成しそうな勢い。(笑)

藤:これ、レクチャーいらなくないですか?(笑)

上田:いります! あ〜、これは楽しいです。

レイヤー構造で描き足しや修正も自由自在

初めてとは思えないスピードでサラサラと画面上に線を引いていく上田。スタートからわずか数分で、画面にライオンの頭部が浮かび上がってきました。

開発:レイヤーという機能があるんですけれど、デジタルって、透明なフィルムを上から何枚も重ねていくような感じで描いていくんですよ。アニメでいうセル画みたいに。だから、いま上田さんが描いているこのライオンの絵も、このままこれに色を塗っちゃったら、後から変更するのが難しいんですけれど、一枚上にレイヤーを追加して、そのレイヤー上で描いていけば、下のレイヤーの絵に影響が出ないように、線が引けたり色を塗れる。

上田:ひええ〜〜〜! 便利!

藤:ライオンの線を描き終わったら、その下に新しくレイヤーを実際につくってみましょう。[画面の操作を上田と替わる]ここに新規レイヤーを作成して、ライオンを描いたレイヤーの下に移動します。そうすると、いま描いた線画に干渉せずに、線をつぶさずに色を塗ることができます。......こんな感じで。

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藤ちょこの操作を真剣な表情で見つめる上田。指導風景も紙と鉛筆の作画とほとんど変わらないように見える

上田:あ、つぶれなーい。へー。......これいま、こうなってるから描けるんだ。[レイヤーの表示/非表示を切り替える]で、これで戻るんだ。......覚えてきましたよ! 次は、どうしたらいいですか?

藤:基本的には、ラフで下書きを描いて、それを元に別のレイヤーに線画を描いて、また別のレイヤーに色塗りをして、っていう流れが多いですけれど、人によっては色味からつくりこんで、線画を描かずに、油絵のような、厚塗りのような感じで仕上げる方もいらっしゃいます。本当にそれぞれです。海外の作家さんには、配色から決めて、油絵のように仕上げる方も多いですね。

やり直したかった作業まで、簡単タイムスリップ!

上田の描くライオンのたてがみは次第にボリュームを増していき、やや頭部のバランスが崩れてきました。レイヤー機能を理解し、描き込みすぎたたてがみの線を消し出す上田。

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操作がスムーズなため、やや描き込みすぎてしまったライオンのたてがみ。レイヤーを分けて描いていたので、最初に描いた線は残したまま、消しゴムツールで消せる

上田:......あ、もうダメだ......。[描き込み過ぎたライオンのたてがみをいくらか消してみたが、そこで上田の手がとまる]

開発:完成!?......ですかね。ちょっとここまでの作業を保存してみましょうか。

藤:「ファイル」をクリックで、「名前をつけて保存」。じゃあ、デスクトップで、ダブルクリックを......。

上田:あ、なるほど。これ......「ラ」......ちょっとパソコン慣れてなくて......「ラ」「イ」「オ」......。

bt:すごいですね、こんなにパソコン操作できないのに、デジタルペイントはさくさくできる......(笑)。

開発:保存します。[ファイルをPC上に保存する]実は、いま保存した手順を、openCanvasはイベントファイルという独自形式で再生できるんですよ! 

上田:何それ怖い! さらされるわけですね、こうやって! ......[再生が始まる]......いやーーーーーっ !! やめてーーーーー!!!(笑)

開発:イベントファイルは、openCanvas上で再生されるので、これでどんなツールを使って描いたとか、ペンのサイズも、全部わかっちゃいます。さらに、途中で一時停止すると、ここから描き直すこともできます。

上田:何それ!! すごいですね。

藤:ライオンのたてがみがモサモサになる前で再生を停止して、そこからとか。この「イベント機能」は、openCanvasさんだけですよね。

bt:この機能は、どういうときにいちばん使うものなんですか?

開発:基本的には、やり直しや工程の記録のときに。あとは、これをopenCanvas専用の投稿コミュニティーサイト「ポタグラ」のほうにアップロードして、メイキングを見せる、というような感じで使用される方もいらっしゃいます。「ポタグラ」に投稿するとmp4も生成できますので、その他の動画サイトにもアップロードできます。今回の上田さんのライオンのファイルも、ポタグラのサイトにアップすれば、openCanvasをインストールしている人ならイベントファイルを再生することができますよ。誰かがライオンの色塗りとか、続きを描いてくれるかも。

上田:なるほど、なるほど。

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ペイントソフト openCanvas パッケージ版

開発:さすが上田さん、飲み込みが早いですね。それでは、あっという間でしたが、第1回「デジタルとアナログって何が違うの?」篇は......。

上田:完? もう、完?

一同:第1回、完(笑)。

開発:次回の講座では、先ほど藤ちょこさんがおっしゃっていたように、もう少し詳しくレイヤー機能を見ていきながら、ラフスケッチから線画を描いていきましょう。

(第2回に続く)

第1回の講座内容を上田麗奈が動画でおさらい!

 第1回「デジタルとアナログって何が違うの?」篇のイベントファイルを早回しで再生しながら、上田麗奈さんと藤ちょこ先生が、おさらいします。

上田麗奈とゆかいな仲間のデジタルペイント講座 【第1回】デジタルとアナログって何が違うの?
https://youtu.be/dC4QpFe2LZQ

bitecho読者へ「openCanvas」をプレゼント!

 bitecho × openCanvas コラボ企画のスタートを記念して、2名様に「openCanvas」をプレゼントします。ご希望の方は、タイトルを「openCanvasプレゼント希望」として、お名前・ご住所を記載のうえ、12月31日までにbitecho@bijutsu.pressまでメールをお寄せください。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

PROFILE
うえだ・れいな 富山県生まれ。声優。第5回81オーディション特別賞・小学館賞、第9回声優アワード新人女優賞受賞。アニメ「ハナヤマタ」(2014年、主人公・関谷なる役)などに出演。特技は水彩画・ボールペン画、趣味は掃除。

ふじちょこ 千葉県出身、東京都在住のイラストレーター。ライトノベルの挿絵やカードゲームのイラストを中心に活動中。「openCanvas」のメインビジュアルを担当。「賢者の弟子を名乗る賢者」「八男って、それはないでしょう!」挿絵、「カードファイト!!ヴァンガード」カードイラストなど。BNN新社より画集「極彩少女世界」発売中。pixiv:藤原 27517  Twitter:@fuzichoco  公式サイト:http://fuzichoco.com

ペイントソフト openCanvas
価格:【パッケージ版】通常版 6,800円(税抜)/ガイドブック付き 7,800円(税抜)
   【ダウンロード版】通常版 5,370円(税抜)
URL:http://store.junglejapan.com/ext/oc/

動作環境(※詳細はメーカーのホームページでご確認ください。)
OS:Windows Vista Service Pack2、Windows 7 Service Pack1、Windows 8/8.1
HDD:インストール用に10MB以上の空き容量(画像の保存、作業領域用に2GB以上の空き容量を推奨)
CPU:SSE2に対応するx86互換プロセッサ
メモリ容量:OSが推奨するメモリ容量(32bitは4GB、64bitは8GB以上を推奨)
ディスプレイ:1024×768、True Color(1280x768以上を推奨)
インターネット接続:アクティベーション(シリアルキーの認証)、自動アップデートにはPCのインターネット接続環境が必要
周辺機器:Wacomタブレットからの筆圧に対応、TabletPC APIに対応したタブレットPCからの筆圧に対応
入力対応フォーマット:BMP、JPEG、PNG、PSD、OCI(openCanvas形式)、WPB(openCanvas1.1形式)
入力対応フォーマット:BMP、JPEG、PNG、PSD、OCI(openCanvas形式)
「openCanvas」のご購入は、こちら!

たゆたう身体と関係性のなかで 川内理香子が恵比寿で個展開催

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2015年12月19日〜2016年2月7日、恵比寿のwaitingroomにて、川内理香子の個展が開催されています。「ART IN THE OFFICE」や「Shiseido Art Egg」での入選で注目を集める彼女は、ドローイング・ペインティングのほか、針金やゴムチューブ・ネオン管などを使い、「線」を中心とした表現を展開。人間の存在意義や関係性、世界の不可思議さを問う作品は、どのようにして生み出されてきたのでしょうか。個展開催前に、彼女に話を聞きました。

たゆたう身体と関係性のなかで

 人が溢れる地下鉄のホームで、前方の通行人が突如として踵を返し、列を逆流する瞬間。あるいは目の前で開扉するエレベーターのなかに、人々と空間が織りなす予想だにしない光景が見えたとき。美術作家の川内理香子は、こうした日常の場面に遭遇した際に生じる微細な心の動きを「自分の想像を壊される、恐怖や快楽を伴う瞬間」だと表現する。

 恵比寿のwaitingroomにて12月19日より開催される個展「back is confidential space. Behind=Elevator」では、日常の小さな綻びによって明らかになる「他者」の存在に着目した新作を発表する。

 これまでに川内は、人物、寿司やケーキなどの嗜好品を、ドローイング、ペインティング、針金といった様々な手法によってかたどってきた。「"食べ物を描く人" "人を描く作家"と言われることがある。でも、あくまでその時々の思考や感覚に従っているだけなんです」と川内は述べる。

 一連の作品のなかには、人物が何かを吐瀉する姿を彷彿とさせる、抽象的な作品も多く含まれている。特定の造形イメージや、鮮やかで適切な色彩を備えた食べ物が、咀嚼や消化によって形状を変え、ときに公衆の面前で事故的にあらわにされること。これらの出来事について、「通常は意識の外にあり忘れている、物事が変化する過程を見せつけられる。だからそのつど驚いてしまいます」と言う。

 そして、そうした日々の些細な事件がもたらす機微は、支持体の上を儚く流れる線描や、容易に形を変えてしまう針金を用いた繊細な作品などへと転化していく。「人の細胞は、7年の周期ですべてが入れ替わると言われている。自分の表現も、この身体と同じように流動的であってほしいです」。

文=野路千晶

『美術手帖』2016年1月号「ART NAVI」より)

川内理香子
Back is confidential space. Behind=Elevator
会期:2015年12月19日~2月7日
場所:waitingroom
住所:東京都渋谷区恵比寿西2-8-11渋谷百貨ビル3階(4B)
電話番号:03-3476-1010
開館時間:月17:00 ~ 23:00 、 金・土・日13:00 ~ 19:00
休館日:12月28日~1月7日
URL:http://www.waitingroom.jp/index.html


乃木坂46がご案内! お正月は3016年の宇宙でお買い物!?

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2015年12月26日〜2016年1月12日、伊勢丹新宿本店2階にて、ファッションデザイナー・中里周子がプロデュースする「ようこそ、ISETAN宇宙支店へ 〜わたしたちの未来の百貨店〜」が開催されます。来館者は、なんと1000年後の宇宙でのショッピングを体験することができるのです!

 年末年始、ファッションデザイナー・中里周子が提案する新しいショッピングの舞台は、今から1000年後の「3016年の宇宙」。伊勢丹新宿店の2階フロア中央に位置する「TOKYO解放区」に、3016年のファッションや旅行のトレンドをテーマに、様々なコンテンツが展開します。

 中里周子は、2014年にヨーロッパ最大のファッションコンテスト「ITS(イッツ)」のジュエリー部門でグランプリを受賞した若手のファッションデザイナーです。2015年6月にタイ・バンコクで開催された「シブカル祭」では、彼女が起ち上げたブランド「NORIKONAKAZATO」のショーがオープニングを飾りました。アートディレクターとしての才能も発揮し、いま注目されているクリエイターの一人です。(『美術手帖』2015年8月号にて、中里周子のインタビュー記事も掲載しています。)

 ISETAN宇宙支店への小旅行を案内するのは、架空の航空代理店「 nn air 」。 VR(バーチャルリアリティ)技術で、よりリアルな旅をお届けします。

 中里周子のショップ「nn」には、制服やトラベルグッズなど、 宇宙のトレンドを取り込んだ商品が並びます。また、H.I.S. 宇宙支店が1000年後の旅行のトレンドを考え、新しい旅のかたちを提案してくれます。

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未来の宇宙をテーマにした様々な商品が並ぶ

 ジオラマのインスタレーションを手掛けるクリエイティブスタジオ「KLOKA」は、宇宙のテーマに合ったユニークなお土産を紹介。また、ポップで可愛いお菓子をつくる「おかしい屋」や、風景を切り取って「菓子化」する「ジオガシ旅行団」などがそれぞれユニークな商品を用意します。

 その他にも、紀伊国屋書店やミニチュア人形メーカー「Preiser」、紙でつくる立体山岳キット「やまつみ」など、見て楽しめる商品が盛りだくさんです。

 そして今回、ISETAN宇宙支店の案内人を務めるのは、乃木坂46の堀未央奈。宇宙トラベル「nn air」では、伊藤万理華(乃木坂46)がキャビンアテンダントとして来館者を案内します。

ようこそ、ISETAN 宇宙支店へ〜わたしたちの未来の百貨店〜
https://www.youtube.com/watch?v=PwrFKLgL_ds

 ISETAN宇宙支店でのショッピングを楽しんだ後は、隣接するH.I.S. 宇宙支店が来館者を地球へ送り届けます。

ようこそ、ISETAN宇宙支店へ〜わたしたちの未来の百貨店〜
会期:2015年12月26日~2016年1月12日
場所:伊勢丹新宿店本館2階=センターパーク/TOKYO解放区
住所:東京都新宿区新宿3-14-1
電話番号:03-3352-1111(大代表)
開館時間:10:30~20:00 ※12月31日のみ10:00〜18:00
休館日:2016年1月1日、1月2日
URL:http://isetan.mistore.jp/store/shinjuku/index.html

※本企画は今後、日本橋三越本店、イセタン羽田ストアに巡回を予定しています。

 ISETAN宇宙支店で配布予定の「nn air搭乗券」をH.I.S.新宿本社に持っていくと、旅行の割引も! この年末年始は、未来の百貨店でショッピングしてみては?

Chim↑Pom&チームラボが出品 ロンドンのアートフェア

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2015年9月10日〜13日、アート・フェア「START」が、ロンドンのサーチ・ギャラリーで開催されました。今回は25都市から47のギャラリーが参加。日本のアーティストでは、Chim↑Pomとチームラボが同フェアの会場内で新作を含む展示をおこない注目されました。現地からのレポートをお届けします。

 今年で2回目となるアート・フェア「START」が、ロンドンのサーチ・ギャラリーで3フロアを使って開催された。イギリスの金融会社、プルデンシャルが主催するこのフェアは、世界各国の新進作家や新たなアートシーンを紹介するためのプラットフォームといえる。ロンドン、ニューヨーク、ブダペスト、ソウル、香港、ケープタウン、ミラノなど、25都市から47のギャラリーが参加。仮設的でせわしない従来のフェア会場とは異なり、ギャラリー空間での展示には落ち着いた雰囲気がある。

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アートフェアSTARTの会場風景 GALLERY BASTEJS(ラトビア)© Alexa Horgan
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アートフェアSTARTの会場風景 L153 Art Company(韓国)© Alexa Horgan

 そしてフェアと同時に、アジアの優れた新進作家に贈られるプルデンシャル・アイ・アワード2015の大賞を受賞したChim↑Pomの、イギリスでは初となる個展も開催された。受賞の理由には、日本の現代社会に介入したメッセージ性の強い彼らの仕事が、ユーモアと問題意識を併せ持つことなどが挙げられている。また同賞のデジタルとビデオを用いたベスト新進アーティスト部門にノミネートされていたチームラボも、同館で新作インスタレーションを発表。会場ではそのほかにアイ・ゾーンという一室を設け、今年はシンガポールにフォーカスしたグループ展示が行われていた。

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Chim↑Pom It's the wall world 2014 ©Chim↑Pom
Courtesy of MUJIN-TO Production, Tokyo
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Chim↑Pom The history of humans 2015 ©Chim↑Pom
Courtesy of MUJIN-TO Production, Tokyo

 Chim↑Pomは、東京の繁華街でメンバーたちがネズミを捕獲する様子を記録した映像とともに、ピカチュウのようにペイントされたネズミの剥製を並べた《スーパーラット》(2006/2015)などの2000年代の作品から、東日本大震災の1か月後に福島第一原発近くの展望台に赴き、そこで白旗に赤いスプレーを使い日の丸から放射能マークを描き掲げるという映像作品《REAL TIMES》(2011)や、津波の被害に遭った福島県相馬市の現場でメンバーと地元の若者たちが円陣を組む映像作品《Ki-Ai 100》(2011)などを展示。また、《The history of humans》(2015)は、広島市に贈られた大量の折り鶴を会場に持ち込み、折り鶴の山でメンバーのエリイがそれを開いていき、その開かれた折り紙を観客たちに再び鶴へと折り返すことを促す新作だ。

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チームラボのインスタレーション風景

 一方、チームラボのインタラクティブなデジタル・インスタレーションでは、空間に投影された無数の草花がゆっくりとそのつぼみから花を咲かせる。5分で1か月、1時間かけて四季が移ろう本作は、まるで小宇宙のようだ。その草花は鑑賞者の動きを察知して集まり、手で触れると花は散り、チョウは死んでしまう。インスタレーションの中のスクリーンでは、巨木にも様々な植物が育ち、花を咲かせては散り、消えていく。コンピューター・プログラムによる映像は予測不可能であり、リアルタイムで変化し続けている。この作品は、メンバーが国東半島を訪れたときに、その自然と人の営み、生態系からインスピレーションを得て生まれたものだという。

「ポスト・フクシマ」と呼ばれる時代にあって、ときに日本の歴史との接続をも図りながら、果敢に現状と対峙して表現を続けるChim↑Pomは、悠々たるコミカルさを持って観客に近づき、ヒリヒリとした現実感を突きつける。彼らの展示は震災後、そして原発事故後の日本は今「どうなっているのか?」という海外における率直な疑問への応答にもなっていた。

 そしてチームラボは、技術と発想で観客を驚かせ、幻想的な世界へといざなうが、その作品は自然を脅かす存在としてのテクノロジーのイメージと背中合わせであるかもしれない。古代の日本の美らしいものをSF的に演出した空間に、自然と人間の営み、テクノロジーの共存という普遍的なテーマが浮かび上がる。奇しくも同じく日本で活動するコレクティブでありながら、作品としてはまったく異なる方向性を持つ2つの展示が海外で、しかもアート・フェアという「華やかな」会場で同時開催されたことは、非常に興味深いことであった。

(文=かないみき)

START 2015 Edition10-13 September 2015
会期:2015年9月10日~13日(終了)
時間:11:00〜18:00(最終日は17:00まで)
会場:Saatchi Gallery(サーチ・ギャラリー)
住所:Duke Of York's HQ, King's Road, London, SW3 4RY, UK
電話番号:+44 (0) 207 225 2000(フェア事務局)
URL:http://startartfair.com

増田セバスチャンが日本初個展を開催! 秘密の展覧会レポート

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原宿を拠点に「kawaii(カワイイ)カルチャー」を牽引するアーティスト、アートディレクター、増田セバスチャンによる個展が、2015年12月18日〜27日、T-Art Gallery(東京・品川)にて開催されています。本展では、海外での個展で発表された作品を含む30点以上を展示。カラフルな色づかいや「カワイイ」モチーフが特徴的な、彼の作品世界をレポートします。

 きゃりーぱみゅぱみゅの演出・美術デザイン担当や、コンセプトショップ「6%DOKIDOKI」(東京・原宿)のプロデューサーとして知られる、増田セバスチャン。国内ではアートディレクションを中心に活動していますが、自身の原点は現代美術や演劇だといいます。2014年には、アーティストとしてニューヨークのギャラリーKianga Ellis Projectで個展「Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-」を開催し、マイアミやミラノにも巡回しました。

 寺田倉庫が運営するT-Art Galleryで開催の、増田セバスチャン 秘密の展覧会「TRUE COLORS」は、彼の日本での初個展。レリーフ、インスタレーション、印刷作品の3つのシリーズを中心に構成された、2013年から現在までのアーティスト活動を通覧できる展示内容です。

コラージュで描く「原宿kawaii」

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左は《Colorful Rebellion -Girls-》(2013)、右は《Colorful Rebellion -Girls more-》(2013)。このシリーズのなかでは、いちばん最初に制作された2点

 立体コラージュの「Colorful Rebellion」は、増田が活動拠点としている原宿の街からインスピレーションを得て、2013年から継続的に制作しているシリーズ。東京の街とそこに集まる女の子をテーマに、カラフルな雑貨などをコラージュしたレリーフ作品です。

 原宿は、「世界のいろいろな場所から集まってきたカルチャーをミックスして、オリジナルに変える街」であることから、世界中で集めてきた素材を使い、原宿で過ごす女の子たちの「一瞬のきらめき」を表現したと語ります。

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自然由来の素材を使用した「True Colors」シリーズの展示風景。天然パールや糸などの、作品に使われた素材も展示された

 また、今回は「True Colors」と題した、オーガニック素材を使って制作されたレリーフのシリーズも展示されています。色彩の専門家の分析によれば、増田作品の色彩配列は、大和絵や十二単などに見られる日本の伝統的な色づかいと近いルールを持っているといいます。渋い色のイメージが強い伝統的な染色方法でも、鮮やかな色合いを実現できることに着目し、「日本古来の色彩で『カラフル』をつくり出し、現代に残す」ために制作されました。 

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水引や扇といった和風のモチーフを取り入れた《 Colorful Rebellion -Japanesque #1》(2015、写真左)と《Colorful Rebellion -Japanesque #2》(2015、同右)

 また、淡いピンクや水色などパステルカラーで構成された「Day Dream」シリーズ、水引や扇など和風のモチーフを取り入れた「Japanesque」シリーズも展示されています。自らのイメージを覆すような新しい挑戦を続ける、増田の姿勢がうかがええます。

ニューヨークで1000人が並んだインスタレーションが凱旋

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Colorful Rebellion -Seventh Nightmare- 2014 Wood panel, mixed medium, acrylic, steel bed

 海外での個展の凱旋展示となる《Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-》(2014)は、立体コラージュでつくられた6枚のパネルと、ベッドに横たわる巨大なクマのぬいぐるみで構成される、「7つの大罪」をテーマとしたインスタレーション作品。パネルはそれぞれ「欲望」「未来」「妄想」「運命」「傷」「現実」を象徴し、7つ目の要素の解釈は鑑賞者にゆだねられています。

 実は、この作品は「自画像」。アイデアを求めて苦しむ増田自身の姿を、ベッドの上のクマとそこからあふれ出す色とりどりのイメージとして表現しています。ニューヨークでは来場者がベッドに寝て鑑賞できる体験型の作品として発表され、初日に1000人の行列ができるほどの反響を呼びました。

印刷でも「本当の色」を求めて

 現在、増田セバスチャンは、東洋インキとコラボレーションして、印刷における色の再現を追求するプロジェクトを進行中。展示会場にはプロジェクトの紹介コーナーも設けられ、最新のデジタル技術を使って増田作品の特徴である強い色彩を「本当の色」で再現した印刷作品を見ることができます。

巨大タイムカプセルのプロジェクトが進行中

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会場風景。右のクマの形のカプセルは、アートプロジェクト「TIME AFTER TIME CUPSULE」で使用されたもの

 今回は、巨大タイムカプセルに手紙や思い出の品を入れ、20年後に開封するアートプロジェクト「TIME AFTER TIME CUPSULE」で使用された、巨大なクマのタイムカプセルも展示。あわせてマイアミやシアトルなどで行われたプロジェクトの様子も、映像で紹介されています。

 増田が原宿で活動を始めてから20年。無名だった当時を振り返り、「20年続ければ認めてくれる人が現れる」というメッセージを込めたプロジェクトでもあるそう。「今後はこれまで以上にアーティストとしての活動に力を入れていきたい」と力強く語っていました。

急遽一般公開が決定!

 本展は予約制の限定公開としていましたが、多数の問い合わせを受けて、急遽一般公開が決定しました。今週末の2日間、入場無料で増田セバスチャンの作品世界を体験できます。

増田セバスチャン 秘密の展覧会「TRUE COLORS」
会期:2015年12月18日~27日(一般公開は12月26日、27日)
場所:T-Art Gallery
住所:東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫本社ビル2階
開館時間:13:00~18:00(26日、27日以外は、要予約)
休館日:月休
問合せ:true-colors@lov-lab.com

〈一般公開〉
会期:2015年12月26日、27日
時間:14:00〜18:00
入場無料

「セゾン」の精神を継ぐギャラリーが、原宿神宮前にオープン!

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セゾン現代美術館(軽井沢)の活動の一環として、2015年12月1日、東京都渋谷区の神宮前に「SEZON ART GALLERY」がオープンしました。アトリエとしても機能するギャラリー(地上1階)、深夜2時まで営業するカフェ・ダイニングバー(地下1階)、ライブパフォーマンスや映像上映も可能なギャラリー(地下2階)の、3つのスペースからなる新たなアートスペースです。

 1970~80年代、西武セゾングループを牽引した堤清二を中心に、文化の一時代を築き上げた「セゾン文化」。とくにアートでは、75年に西武池袋本店内に開館し、国内外の20世紀美術を意欲的に紹介した西武美術館(後にセゾン美術館に改称)や、同館に隣接した美術専門書店アール・ヴィヴァンの存在が、この頃の日本のアートシーンにおいて重要な役割を果たした。セゾングループの解散や99年のセゾン美術館閉館後は、軽井沢のセゾン現代美術館を中心にその活動は続けられていた。

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1階ギャラリー。展示されているのはBen Moriの作品

 そして12月1日、東京、神宮前に「セゾン」の意志を継ぐ「SEZON ART GALLERY」がオープンした。一般財団法人セゾン現代美術館の代表理事、堤たか雄は、設立理由をこう話す。

「西武美術館を今の時代で解釈したらどうなるか、を実践してみたんです。父の清二は、あの美術館を『時代の精神の根拠地』と表現しています。私は、そこでは『アートの日常性』というのが非常に重要だと思ったのです。そして、やはり東京に、現代美術を日常的に楽しんでいただ ける場をつくりたいと思ったんです」。

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地下1階のカフェ・ダイニングバー

 新しく設立されたギャラリーは、様々な機能を持つコンプレックスになっている。通りに面した1階には、作家の滞在制作を可能にするアトリエを併設したギャラリー。地下1階には作品を鑑賞しながらの交流が可能な、サロン的な役割も果たすカフェ・ダイニングバー。そして地下2階には、企画展を中心に、ライブパフォーマンスや映像作品上映も可能にするメインギャラリーがある。こけら落としの展示はBen Moriの個展。その後、笹田靖人、門田光雅と続く予定だ。新しい才能・価値観を継続的に提案していくために、あえてコマーシャル・ギャラリーという形態を選んだ。

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地下2階のメインギャラリー。展示は12月1日から27日まで開催の、Ben Moriの個展「FORBIDDEN FOREST」

「気軽に現代美術を楽しんでもらえたり、買ってもらえるような場をつくっていきたいですね。日本はあと15年はかかるよ、などと言われたりするんですが、それでも挑戦したい。父も、セゾンも、当時誰も想像できなかったようなことを次々に成し遂げていったわけですから」。

『美術手帖』2016年1月号 INFORMATIONより)

SEZON ART GALLERY
BEN MORI 展 「FORBIDDEN FOREST」 2015年12月1日〜27日
YASUTO SASADA 展 「INNOCENT WORLD」 2016年1月8日〜29日

住所:東京都渋谷区神宮前3-6-7
営業時間:Atelier / Gallery(1階)Gallery(地下2階)11:00〜18:00/Cafe & Dining Bar 367°(地下1階)11:00〜26:00
URL:http://sezonartgallery.com/

【招待券プレゼント】「鉄彫刻の父」ゴンサレス展が世田谷で! 

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2015年11月28日〜2016年1月31日、世田谷美術館にて「スペインの彫刻家フリオ・ゴンサレスーピカソに鉄彫刻を教えた男」展を開催しています。「20世紀鉄彫刻の父」と呼ばれるゴンサレスの、国内初となる本格的な回顧展です。

 フリオ・ゴンサレスは1876年、スペイン・バルセロナに生まれました。1900年からはパリを拠点に、金工で生計を立てつつ画家を志します。当時多彩な芸術動向が渦巻くなかで、ゴンサレスは同郷の旧友であるパブロ・ピカソ(1881〜1973年)に鉄の溶接技術を教えたことがきっかけとなり、「彫刻家」としての自分を発見。オーギュスト・ロダン(1840〜1917年)、アリスティド・マイヨール(1861〜1944年)、ピカソなど同時代の芸術家たちに影響を受け、あらゆる試行錯誤を繰り返しながら彼の彫刻はつくられました。

 抽象的でありながら、有機的なのびやかさをもつゴンサレスの彫刻は、「空間の中のドロイーイング」とも呼ばれ注目を集めました。

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ゴンサレスと《鏡の前の女》、アルクイユの工房にて バレンシア現代美術館蔵

 世界恐慌からスペイン内戦、そして第二次世界大戦の勃発と、激動の時代を生きたゴンサレスが彫刻家として活動したのはわずか10年あまりです。本展では、日本初公開となる金工職人であった若い時代の作品をはじめ、彫刻や素描など計94点を展示。「彫刻家」として目覚めると同時に起こる作品の変化や、時代の流れのなかで終わることのなかった試行錯誤を、展示作品を通して垣間見ることができます。

 また期間中は、関連企画として金属ワイヤーでメタルオーナメントをつくることができる創作体験や美術と演劇のワークショップ、酒井忠康(世田谷美術館館長)による講演会「彫刻が生まれるときーフリオ・ゴンサレスをめぐって」も行われます。

スペインの彫刻家フリオ・ゴンサレスーピカソに鉄彫刻を教えた男
会期:2015年11月28日~2016年1月31日
場所:世田谷美術館 1階展示室
住所:〒157-0075 東京都世田谷区砧公園1-2
電話番号:03-3415-6011
開館時間:10:00~18:00(ただし、入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜、2015年12月28日〜2016年1月4日
   (ただし、2016年1月11日は開館、翌1月12日は休館)
観覧料:一般=1000円、65歳以上=800円、大高生=800円、中小生=500円

 ゴンサレスの仕事の全体像をとらえる、日本初となる体系的な回顧展。人間的な世界を希求し続けた巨匠の歩みを展覧会場でご覧ください。

展覧会招待券を、5組10名様にプレゼントいたします!

「スペインの彫刻家フリオ・ゴンサレスーピカソに鉄彫刻を教えた男」展の招待券を、抽選で5組10名の方にプレゼントいたします。ご希望の方は、氏名・メールアドレス・住所・「bitecho」の感想をご記入の上、件名を【bitecho「フリオ・ゴンサレス展」プレゼント】とし、bitecho@bijutsu.pressまでお送りください。締切は12月28日13:00、当選結果は賞品の発送をもってかえさせていただきます。

横浜から世界へ!「横浜ダンスコレクション2016」1月開幕

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2016年1月23日〜2月14日、国際的なコンテンポラリーダンス・フェスティバルである「横浜ダンスコレクション2016」が横浜赤レンガ倉庫を中心に開催されます。1996年のスタートから21年目となる今回は、新たにアジアのダンスフェスティバルと連携、協働し、世界的に活躍するアーティストによる作品上演をプログラムの基軸に組み込みました。また、ダンスのジャンルを超えた表現や現代美術家との共同創作の試み、無料で楽しめる屋外でのパフォーマンスなど、例年よりもパワーアップした内容が盛り沢山です。

「若手振付家の発掘と育成」と「コンテンポラリーダンスの普及」を目指して旗揚げされた横浜ダンスコレクションは、過去20年間で306組の振付家を世界へ送り出し、新たな才能を発見する場として注目を集める一大イベントに成長しました。21年目を迎えた今回は、これまでに築いてきた世界の劇場やダンスフェスティバルとのネットワークを生かして、日本だけではなくシンガポール、韓国、フィンランドで注目を集める振付家の作品も紹介します。

ダンスと美術、異なる表現の華麗な融合

 本イベントのオープニングを飾るのは、ダンス×美術プログラム『無・音・花 Silent Flower』です。世界初演となる本プログラムでは、横浜で滞在制作を行っている現代美術家の丸山純子による美術作品《無音花》に、振付家のチョン・ヨンドゥが創りだす感性と表現が重なり、ゆったりとした時間と空間を紡ぎ出します。

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スーパーの袋を利用した造花で花畑をつくりだす丸山純子。『無・音・花 Silent Flower』では、チョン・ヨンドゥとともに演出も手がける Photo by 大野隆介

3か国の最高峰のパフォーマンスを堪能できる「アジア・セレクション」

 日本・シンガポール・韓国の3国の、「今」を体現するダンス・パフォーマンスを紹介する「アジア・セレクション」では、各国を代表する実力派カンパニーの作品が上演されます。

 日本からは振付家・三浦宏之の新作『Works-M Vol.7[クオリアの庭 Garden of qualia]』を、シンガポールからはシンガポールを代表するダンスカンパニーT.H.E Dance Companyの注目作品『オーガナイズド・カオス Organized Chaos』を出品。そして韓国からは、日韓ダンス交流プロジェクトによって創作された『Growling』が出品されます。同作は、韓国最大級のソウル・パフォーミングアーツ・フェスティバルのソウルダンスコレクションから選出されたキム・ジウクと、横浜ダンスコレクションから選出されたタシロリエの二人の振付家による共同作品です。

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T.H.E Dance Company Organized Chaos Photo by Bernie Ng

日本とフィンランドの注目作を一挙上演!

 また会期最終日のスペシャルプログラムとして、ストリートダンスを共通の作品創作のベースとしながらも、そのスタイルやテクニックを超えて世界的に活躍するフィンランドのイマ・イドゥオセーと、日本のダンスカンパニーDAZZLEの2組による上演が予定されており、注目されます。

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イマ・イドゥオセー this is the title Photo by Petra Hellberg
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DAZZLE
横浜ダンスコレクション2016
会期:2016年1月23日〜2月14日
場所:横浜赤レンガ倉庫1号館・屋外広場、象の鼻テラス、他
主催:公益財団法人横浜市芸術文化振興財団
共催:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本 他
助成:平成27年度文化庁国際芸術交流支援事業
問い合わせ:045-211-1515(横浜ダンスコレクション 事務局)
※各プログラムの詳細は公式サイトよりご確認ください。

 新たな文化発信の役割を担う歴史的建造物「横浜赤レンガ倉庫」から世界に発信される、新進気鋭のダンス作品を堪能してみてください。

サクラの花とR2-D2?! 「スターウォーズ アート展」

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「STAR WARS ART スターウォーズ アート展」が2015年12月18日〜2016年1月8日、GALLERY21(東京・台場)にて開催されます。本展では、スターウォーズのキャラクターたちをモチーフに、世界各国のアーティストが独自の世界観で描き上げたアート作品を展示しています。映画のシチュエーションとはひと味違ったR2-D2などの姿が映えるアート作品を鑑賞することができます。

 12月18日より、10年ぶりとなる新作が公開された映画「スターウォーズ」シリーズ。公開前から大きな話題となっていた「スターウォーズ/フォースの覚醒」は、公開初日から3日間で国内動員数100万人を突破しました。壮大なスケールの世界観と愛すべきキャラクターたちは、世界中で熱狂的なファンを獲得しています。

 本展では日本で唯一のルーカスフィルム公認アーティスト、三田恒夫の作品をはじめとした、スターウォーズをモチーフに世界中のアーティストたちが描いたアート作品を、展示・販売しています。映画の設定から自由になった様々な姿のキャラクターたちに出会えます。

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Jerry Vanderstelt Jabba's Bane (c) Lucasfilm/Disney The Artwork at this event is officially licensed through Acme Archives, Ltd. This event is not sponsored by or associated with Star Wars, Disney or Lucasfilm. Officially Licensed Artwork by Acme Archives Ltd.
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Steve Thomas Jakku by Speeder (c) Lucasfilm/Disney The Artwork at this event is officially licensed through Acme Archives, Ltd. This event is not sponsored by or associated with Star Wars, Disney or Lucasfilm. Officially Licensed Artwork by Acme Archives Ltd.
STAR WARS ART スターウォーズ アート展
会期:2015年12月18日〜2016年1月8日
場所:GALLERY21
住所:東京都港区台場2-6-1 ホテルグランパシフィック LE DAIBA 3F
開館時間:11:00〜18:00
休廊日:月曜
入場料:無料
URL:http://www.grandpacific.jp/facilities/gallery/

 スターウォーズの世界観をかたちづくる芸術を独自の視点で解釈した『美術手帖』2015年12月号の「特集:スター・ウォーズの芸術学」もぜひ映画、展覧会とあわせてご覧ください。


大掃除しなくてもいいかも? モノにあふれた素敵なお部屋集

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2015年も残すところわずか。年末となるとどうしても大掃除をしなくちゃと追い立てられるように思います。でも年末ムードに流されるまま「断捨離」と称して、本当は好きで大事にしていたものまで捨ててしまったりしていませんか? 本当は捨てなくても、クローゼットに隠さなくてもいいのかもと思わず大掃除する手が止まってしまうような「モノに囲まれた素敵な暮らし」をご紹介!

仕舞えなければ、貼ればいい!

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出典:FABRIC OF MY LIFE
http://fabricofmylife.co.uk/2009/10/22/inspire-me/

 気に入って買い集めたポストカードや、雑誌のスクラップ、写真、展覧会のDM。お菓子のパッケージや可愛くて捨てられないリボン、外国の切手、旅行先のチケット......。はたから見ればただの紙切れでも、捨てられないものってたくさんあります。

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筆者の部屋の壁。「外国の古い手書きのはがき、パンジーの押し花、気に入ったワインのラベル、父からのピカソの絵はがき......」

 そういうものを、マスキングテープなどを使用してランダムに壁面に飾っていくと自分の「好き」が可視化されて、その共通項やつながり方などまで見えてきて面白い発見があります。自分だけのアイディアボードのように壁面を使ってみてはいかがですか?

 サイズの違いや素材の違いはあえて気にせず貼っていくことをおすすめします。その異素材感が、個性を感じさせ立体感を生み出します。

場所がなければ、積み重ねればいい!

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出典:A'PALLOTA
http://a-pallota.blogspot.jp/2013_07_01_archive.html

 ただモノを積み重ねると崩壊の恐れもあり危険ですが、箱を積み重ねれば安定感もあり、この写真のように本の方向に規則性がなくても成立します。ここでも箱の大きさを揃える必要はありません。ランダムな大きさを重ねた方が、強弱がついて圧迫感が抑えられます。

 どうしても増えてしまい、簡単に手放しにくい本の数々。図鑑や図録などの大きなサイズの書籍は、とくに本棚には収まりきらず片づけに苦労している方も多いのでは?

 箱を縦にすれば大判の書籍も立てて収納が可能です。表紙が美しい書籍であれば正面を見せて立てかけるのも素敵です。あるいは、無造作に積み重ねても。箱型の収納は、そのときどきの物量に応じて形を組み替えられる、自分仕様にできる身近な家具です。モノが多い人にぴったり!

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出典:homedit.com
http://www.homedit.com/methods-to-turn-wine-crates/

 箱を活用した、博物館のようなインテリアがこちら。

 壁面に箱を釘で固定することができる住環境であればぜひ試したいスタイルです。箱の中に陳列するものがより引き立って見えてくるのが、特徴。コレクションしているものを効果的に見せることができます。細々としているものは共通の瓶やアクリルケースなどに入れて、この写真のように飾ると、飾ったものがお菓子のように見えてくるなど、面白いです。

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出典:hgtv.com
http://photos.hgtv.com/photos/books-/p/3

 読むべき本が溜まりに溜まっている「つんどく(積読)」状態の本は、こんな風に堂々と積んでおくことをお勧めします。本の背の色合いやデザインも、こうやって積まれてみると改めて素敵だと思うものも多くあります。奥にしまってしまうと手に取らなくなる本も、目に見えることで必要なときにページをめくることができます。

片付かなくても楽しければいい!

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出典:museum-design.ru
http://museum-design.ru/6-sposobov-oformleniya-sten-ot-sarah-bagner/

 すっきりと見せることや統一感を出すのが難しいほどの物量の場合、床に直置きするものだけはこの写真のようにガラスのジャー(瓶)や籠に入れて収納し、ぱっと見たときに細々したものが見えないようにすることがポイントです。

 あとは機能性を第一に、使いたいときに使いやすいようなグループ分けをするだけ。この場合でも壁面を机の延長のように使うことが魅力の秘密です。

置くところがなければ、吊るせばいい!

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出典:mayanhandballcourt.com
http://mayanhandballcourt.com/page/64

 近年、インテリアの世界では様々な素材の籠を「見せる収納」として取り入れるのがトレンドになっています。籠の素材に統一性を持たせれば、サイズや中に入れるものはいろいろでも散らかっているようには見えないのがポイント。

 キッチンには、写真のような食材を入れるのにも通気性が良く丁度いいワイヤーのバスケットがおすすめです。床に直置きするなら、籐で編まれたバスケットが重宝します。この時期出しっぱなしにしているブランケットをくるくると畳んで入れておくのもいいですし、簡易のマガジンラックとしても活躍します。

 バスケットはS字フックなどを活用すると吊るすことも十分可能ですが、耐荷重が心配な方には気軽に「吊るせて魅せられる」アイテムをご紹介。

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出典:ydecorar.com
http://www.ydecorar.com/?p=103

 好きな絵や切り抜き、写真はこうやってハンガーをフレームのように使ってみるのはいかがですか? 例えば、(細かいものを収納したり、CDを飾るような)ポケット付きのビニールをハンガーに吊るせば、アクセサリーや訪れた展覧会のチケットなどよりたくさんの小さなものを見やすく壁面に飾ることもできます。

 いつも何気なく使っているものが、意外な使い道をひらめかせてくれたりします。

モノが多くても寝られる場所があればいい!

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出典:funtime.ge
http://funtime.ge/saknatuno-ambebi/16-sashinao-biblioteka-romelic-nebismier-wignismoyvaruls-moewoneba-16-foto/

 モノが多くても寝られる場所があればいい! というのは、あまりに極論でしょうか。

 控えめに言っても、眠りに落ちるときや目が覚めたときに部屋が好きなモノであふれているということは何物にも代えがたい幸福だと思います。ほかの誰かから見たときに綺麗な部屋だと感心されることよりも、自分の好きなモノであふれた部屋を持つことは、ずっと大切にしていい、暮らす人の人生の一部です。

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出典:www.pinterest.com
https://www.pinterest.com/markcaragiulo/oyster-bar/

 熱心にコレクションしているものがあれば、それを仕舞っておくのはもったいないです。それらは自分を自分たらしめてくれるような、毎日の元気やヒントになるようなものなのではないかと思います。

大掃除よりも大切なこと。

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出典:pinterest.com
https://www.pinterest.com/pin/503206958335147701/

 ひとところに収まらないくらい好きなものがあるって素敵だと思います。そのものたちに対して価値を与えているのは、持ち主のものにまつわる思い出であったり、持ち主自身のこころの原風景です。ただ、拾い集めたり買い集めたりしてきた集積は、ときに圧迫感を放ち、所持するのが嫌になることもあるかもしれません。

 そんなときに「断捨離だ!」「大掃除だ!」と捨ててしまうのも重量から解放されるのにはうってつけですが、単純に物量を減らすのではなく、物の置き方に規則性を持たせてお店のような陳列をしてみたり、ご紹介してきたような方法で「見せる=日常の一部にする」ことを提案します。

 快適さとは人それぞれであることを物語るような個性的なインテリアの数々。自分にとっての心地よさを年末年始のお休みで再確認できたら、きっとその部屋は、来年も絶対安心な「心の基地」であり続けるでしょう。 

櫛野展正連載:アウトサイドの隣人たち ①妄想スクラップ職人

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ヤンキー文化や死刑囚による絵画など、美術の「正史」から外れた表現活動を取り上げ続け、11月には新たにギャラリー兼イベントスペース「クシノテラス」を立ち上げた櫛野展正による連載。2015年12月13日をもって自主企画展開催を終了したアール・ブリュット美術館、鞆の津ミュージアム(広島)のキュレーターとしても知られる櫛野が、「表現の根源に迫る」人間たちを紹介します。

櫛野展正連載:アウトサイドの隣人たち ①妄想スクラップ職人・遠藤文裕

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ノートというより、もはやオブジェだ。最近は保存性の高いツバメノートを愛用している

 高知、名古屋、神奈川、北海道、福岡と全国のいろいろな場所で話をする機会をいただくのだが、いつも会場の最前列で目にする男性がいる。福岡からやって来たというその人と何度かやり取りをしているうちに、分厚いノートの束を見せてくれるようになった。

 1冊のノートの厚みは約7センチ。中身は、ごく個人的な内容のスクラップブックなのだが、実際に見た展覧会や映画のチラシ、そしてその土地までの旅行券から旅先で食べた食事のレシートに至るまで、さまざまな紙ものがちょうど見開きページに1テーマが収まるようにコラージュされている。スクラップブックを眺めていると、どこで何を食べたとか何を買っただとかの個人情報が記録されているので、覗き見ることを思わず躊躇してしまうが、全国各地の美術館をたくさん訪れていることがわかる(最近は、恥ずかしながら僕の記事や写真も多いのだが)。そしてノートの断面に目をやると、各ページの色彩が等高線のように豊かな層をなしており、美しい。表紙をめくったページにはノートを購入したレシートも貼り付けられている。日付はちょうど1年前。およそ1年に1冊ずつこのスクラップブックは生まれているようだ。

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最近は僕を追いかけ続けてくれている遠藤さん。「障害(仮)」展には、福岡から合計3回も足を運んでくれた

 作者は、福岡在住の遠藤文裕さん。昭和47年生まれの43歳だ。福島県会津地方の北部に位置する喜多方市で生まれた遠藤さんは、父親の転勤で幼稚園から浪人時代までを仙台で過ごした。小さいころから、児童文学を読んだりイラストを描いたりと典型的な文系少年だったが、親の勧めで、二浪の末に就職に有利な青山学院大学経済学部へ入学。入学しても経済に興味は湧かず、映画サークルに所属し映画の世界に没頭する。ただ、まったくと言っていいほど映画はつくっていなかったそうだ。

 卒業後は地元の一部上場企業の医薬品卸会社に勤務。就職活動のときから「自分はサラリーマンには向いていない」と感じていたという。それでも県内で何回かの転勤を繰り返し、7年間勤務。当時は運転に不慣れだったためよく事故を起こしていたことと、医薬品のみを扱う会社の成長に疑問を持ち、将来性に不安を感じたため郊外型総合販売店チェーンに転職。入社して3年目には、人生の伴侶を得る。

 「当時夜勤のパート職員だった子が自分のことを気に入ってくれたんですけど、結婚してみたらとんでもない鬼嫁でした。いつも喧嘩して家へ入れてもらえなくて、会社の駐車場で寝てたら警察官に懐中電灯で顔を照らされて職務質問をよく受けたんで、今度は公園で寝たらそこでもやっぱり職務質問受けちゃって。ルックスは良かったけど厳しい人でしたね」と笑って語る。3年で離婚し、現在は福岡にある家賃2万9000円のアパート暮らし。部屋には冷蔵庫がないし、テレビはいまだにブラウン管。外出するときはブレーカーを落とすため、月の電気代が1000円に満たないのだとか。

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関係ない事柄を結びつける遠藤さんの「関連妄想」は、まさに紙面の上のキュレーション

 そんな遠藤さんが、誰にも見せることなく密かにスクラップブックをつくりはじめたのは、医薬品会社に勤めていたころからだ。お手本にしたのは、江戸川乱歩の『貼雑年譜』(1989)。特徴的なのは、自ら見聞したなかで記憶に留めたいものだけを「編集」しているということだ。映画『ビリギャル』(土井裕泰監督、2015)の背後には尾形光琳の《燕子花図屏風》(江戸時代、18世紀)が配置されるなど、スクラップブックには「関係ないことがくっつくのが面白い」という遠藤さんの一貫した姿勢が見事に表現されている。

「『ビリギャル』の2人が真面目に演技してるのを《燕子花図屏風》が台なしにしている。もちろんそんなことは自分しか知らないし、それが自分の中では滑稽なんですよね」と妄想は止まらない。なかには、文庫本のカバーが切り貼りされているものもある。カバーのなくなったその本は裸で保管しているようだが、それはまったく気にならないらしい。おそらく興味の幅が限局しているから、ここまで継続できているのだろう。

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毎日のように「関連妄想」を記した長文メールも届く。このスクラップブックと併せて眺めるのが楽しい

 たくさんの美術館巡りをしてきた遠藤さんが、鞆の津ミュージアムを知ったのは2015年に入ってからのこと。

「ウェブサイトで過去の展覧会を見ていたら、脳みそのいままで刺激されてないところを刺激された感じで、櫛野先生の審美眼がすごくて、もう感動のあふれる量がハンパないっていうか」と興奮気味に語る。自分自身のことを褒められるのは、どこかムズ痒いところがあるが、何より嬉しいのは、多様性のある人たちが生み出した表現を受け入れる寛容な受け皿が、美術通の遠藤さんにはあったことだ。

「自分思うんですけど、就職活動してるころからサラリーマン人生から逃げ出したいって思ってたし、でも脱サラするにも能力や才能もない。そんな心の裏返しでやってると思うんです」自らそう分析するように、満たされない現実を埋め合わせるためにスクラップブックの制作を始めたのかもしれない。それがいつの間にか、スクラップ制作のための生活に主客転倒してしまったのではないだろうか。いまや10冊近いスクラップブックは、遠藤さんの人生の軌跡でもある。自らタグ付けした事物を関連付けることで、これまで脳内でさまざまな物語を紡ぎだし、自分だけの世界に陶酔してきた。そうした関連妄想の積み重ねが、このノートの分厚さや重さとなって僕を刺激する。思い立ったら、どこにでも自ら足を運び、頭ではなくまず手を動かすことが大切なんだ、と。誰に見せるわけでもなく生産性もまったくない、極上の編集が加えられたノートは、いまや彼にとって最先端のメディアとなっている。そして、この原稿もそのノートの血肉となることを祈っている。

(文=櫛野展正)

PROFILE
くしの・のぶまさ キュレーター。アール・ブリュット美術館、鞆の津ミュージアムでキュレーターを務める。2015年12月13日まで開催された同館最後の企画展「障害(仮)」では、「障害者」と健常者の境界について問題提起した。2015年11月、個人プロジェクト「クシノテラス」を開始し、トークイベントなどを行っている。

クシノテラスvol.1
山下陽光の「バイトやめる」学校
日時:2016年1月17日 16:00〜
場所:クシノテラス
参加費:2000円
申し込み:http://goo.gl/PZwe3H


クシノテラスvol.2
日比野克彦トークイベント「これまで日比野 これから日比野」
日時:2016年3月26日 19:00〜
場所:クシノテラス
参加費:2000円
申し込み:http://goo.gl/NYNrWM

クシノテラスを応援しよう!

 櫛野展正の新プロジェクト「クシノテラス」では現在、ギャラリーの修築や展覧会経費のためのクラウドファンディングを実施中。1000円から支援が可能で、リターンとしてアウトサイダー・アーティストたちの作品が進呈されます。下の画像から、特設ページにアクセスできます。

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関連記事
表現の根源に迫る人間たちを発掘せよ! 櫛野展正インタビュー

こんなにある! 京都のおもしろ現代アート拠点

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神社仏閣巡りや食べ歩きなど比較的ベタな観光に終始しがちな京都。アートでは、2015年の春に「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」で注目されましたが、一時期のイベントだけでなく、街に根ざしたエキサイティングなアートの場がたくさんあるのをご存知でしょうか? 10月初旬に開催されたアートフェスティバル「ニュイ・ブランシュ KYOTO」での展示を振り返りながら、オススメのスポットを紹介。新旧織り交ざったユニークな場所性は、作品をより特別なものにしてくれます。

京都市立芸術大学のギャラリー「@KCUA」

 2023年に京都駅北東の崇仁地区へ移転する一大プロジェクトが進行中の京都市立芸術大学。そのギャラリー「@KCUA(アクア)」が二条城の近くにあります。今回「ファッション」をテーマにした「ニュイ・ブランシュ」では、メイン会場のひとつ、@KCUAでパリのアート集団「アンドレア・クルーズ」のショーが開催されました。エスモード大阪校とのコラボにより、リサイクルを創造的に行う「アップサイクル」をキーワードに、京都の着物を再活用したコレクションを発表。着物と現代ファッション、日本とフランスのクリエーションが融和する瑞々しいビジョンを提示しました。

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ランウェイショーの最後には、ライムメーカーのN.O.B a.k.a. COCOSPIN によるパフォーマンスが行われた

廃校を利用した「京都芸術センター」

 京都の街歩きの中心、四条烏丸駅からも近い「京都芸術センター」は、旧明倫小学校の校舎を利用したアートスペース。1931年に建てられた建物は国の有形文化財に登録されています。

 こちらで開催されたのが、「パラレルワールド または私は如何にして世界を愛するようになったか」。日本のカンガワ ユウジンとフランスのピエール=ジャン・ジルー、2人の映像作家による展覧会です。

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カンガワ ユウジン SANSUI

 まず、カンガワは6Kカメラで撮影された映像作品《SANSUI》で、照明を落とした広いホールに水を張り、4つのモニターを設置。東北地方の民間伝承でそれぞれ「太陽の山」とされる鳥海山と、「月の山」とされる月山、双方の山を照らす太陽や月、木々や滝といった自然の風景を映し、「幻の修験道の遍路を行くある男の視点」を表現しました。靴底を水に浸しながら水鏡に反射した映像を見ていると、瞑想に耽るような感覚を体感できるのでした。

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ピエール=ジャン・ジルー Invisible Cities # Part 2 # Japan Principle

 ジルーは、フィクションを加えて現実を再構築する自身の作品を「先取りフィクション」と呼んでいます。本展では、和室の壁面に映像を投影。飛行船のような形をした「風の卵」(設計:伊藤豊雄)が東京から横浜の建築物の間をすり抜けていきます。ゆっくりと動くビルのファサードが反射して和室の障子や畳と重なり、明滅する様子は、ふと不気味な生き物に囲まれているような印象を与えます。

 両者が見せる予兆的な景色に畏怖すら感じ、緊張感をもって展示室を後にすると、昭和初期の建物に囲まれた中庭でゲートボールをするおじいちゃん、おばあちゃんたちの姿を見つけてほっこり。そんなパラレルワールドに出くわすのもこの場所ならではの体験です。

美術家・岡本光博が営む「KUNST ARZT」

 ルイ・ヴィトンやグッチ、フェンディといったハイブランドのモノグラムを使ってバッタを象った《バッタもん》など、ユーモラスでクリティカルな作風で知られる岡本光博。「KUNST ARZT」は彼が主宰するギャラリーです。

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KUNST ARZT 外観

 今回開催した自身の個展「LIFEjackets」では、生命保険会社のイメージキャラクターのぬいぐるみを縫い合わせた《LIFEjacket》と、それを着て敦賀原発付近の敦賀湾でどれくらいの時間浮くことができるかを実験している映像などを展示(結局3分くらいは浮いていたそう)。ファッションをテーマとしたニュイ・ブランシュの会期中、強い存在感を放っていました。

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岡本光博「LIFEjackets」の展示風景

異界との境界「Yokai SOHO」

 百鬼夜行の通り道とされる一条通。通称「妖怪ストリート」の入口に今年オープンした「Yokai SOHO(妖怪ソーホー)」は、フランス人建築家のブノワ・ジャケさんが空きビルを改修した複合施設。1階はカフェ、2階はギャラリー、3階は事務所やショップ、4~5階は宿。屋上には日本庭園もあります。こちらで行われていたのは、パフォーマンス・アーティストであり、ファッションデザイナーでもあるリー・バウリーのオマージュ展。今井俊介、大巻伸嗣、高田冬彦らの作品が展示され、バウリーのイメージを拡張させていました。

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「リー・バウリーへのオマージュ」展示風景

宿泊者だけが鑑賞できる「kumagusuku」

 美術家の矢津吉隆が今年はじめにオープンした「kumagusuku(クマグスク)」は、アートとホステルを融合した宿泊型アートスペース。築60年以上の木造建築を改築した2階建てで、基本的に1年毎に展示替えが行われるとのこと。 10月にスタートした企画展第2弾の出品作家は藤本由紀夫。「建物の読書」とされる記憶術に着想を得て、この空間そのものを作品化しています。滞在して鑑賞することを一種の読書行為とする、ここに泊まることでしか体験できない作品です。

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藤本由紀夫「THE BOX OF MEMORY - Yukio Fujimoto」は、2016年9月末まで開催している

 京都にはこの他にも、キュレーター遠藤水城がディレクションするウィンドーギャラリー「東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)」、「21世紀型公民館」とうたわれる「Social Kitchen」などがあり、地元の作家の活躍の場としても目が離せません。

 京都を訪れる際には、今回紹介したスペースのスケジュールをチェックして行くと、さらに充実した旅となるはずです。

(文=小林沙友里)

京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA
住所:京都府京都市中京区押油小路町238-1
電話番号:075-253-1509
開館時間:11:00〜19:00(最終入館は18:30)
休館日:月曜日
URL:http://gallery.kcua.ac.jp/


京都芸術センター
住所:京都府京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
電話番号:075-213-1000
開館時間:10:00~20:00(カフェは21:30まで/制作室・事務室は22:00まで)
休館日:12月28日〜1月4日(図書室の休室日はHP参照)
URL:http://www.kac.or.jp


KUNST ARZT
住所:京都府京都市東山区夷町155-7
電話番号:090-9697-3786
開館時間:12:00〜18:00
休館日:月曜日
URL:http://kunstarzt.com/


Yokai SOHO
住所:京都府京都市上京区一条通御前東入西町24
電話番号:075-748-0626
URL:https://www.facebook.com/yokaisoho/


KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
住所:京都府京都市中京区壬生馬場町37-3
電話番号:075-432-8168
URL:http://kumagusuku.info

【招待券プレゼント】 常識を覆す、祖父江慎のブックデザイン!

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2016年1月23日〜3月23日、千代田区立日比谷図書文化館にて「祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ」が開催されます。グラフィックデザイナーの祖父江慎と彼の主宰するコズフィッシュのブックデザインを通じ、本の魅力を探る展覧会です。

 祖父江慎は、「うまくいかない喜び」を軸に活動し、多くの書籍の装丁デザインを手掛けてきたグラフィックデザイナー。意図的な乱丁や斜めの裁断など、吉田戦車のマンガ『伝染るんです。』(小学館)に代表されるような、装丁の常識を覆すデザインで注目を集めてきました。

 本展は「コズフィッシュの書庫」「本の実験室」「漱石室」の三部で構成。祖父江と、彼の設立したデザイン事務所・コズフィッシュが世に送り出してきたブックデザインの数々を例に、本づくりの工程を詳しく紹介します。

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吉田戦車『伝染るんです。』(小学館、1990年)

 「コズフィッシュの書庫」では、祖父江とコズフィッシュが手掛けた約2000冊もの装丁本を、前後期で20世紀と21世紀に分けて展示します。

「本の実験室」では、本の構造、使用される紙、印刷、製本など、本ができるまでのプロセスを解説します。

「漱石室」では、彼が手掛けた夏目漱石『心』『吾輩ハ猫デアル』新装版の制作過程を、漱石自身による装画や初版本のゲラなどとともに紹介します。発表当時に合わせて著者名を姓のない「漱石」とするなど、長年漱石の研究を行ってきたという祖父江のこだわりが詰まった新装版。現在制作中の『吾輩ハ猫デアル』は、後期展示でお披露目予定です。

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漱石『心』(岩波書店、2014年)

 会期中には関連イベントとして、祖父江と出版社編集・制作者、グラフィックデザイナーによるトークイベントも予定されています。

祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ
会期:2015年1月23日~3月23日 (前期「cozf編」1月23日~2月14日、 後期「 ish編」2月16日~3月23日)
場所:千代田区立日比谷図書文化館 1階特別展示室
住所:東京都千代田区日比谷公園1-4
電話番号:03-3502-3340
観覧料:一般300円、大高生200円
開館時間:平日10:00~20:00、土10:00〜19:00、日祝10:00〜17:00 (入室は閉室の30分前まで)
休館日:2月15日、3月21日
URL:http://hibiyal.jp/hibiya/museum/exhibision2015sobue-cozfish.html

 紙の本だからこその表現ともいえるブックデザイン。祖父江が1冊の本に込める情熱とは、どのようなものなのでしょうか?

招待券を5組10名様にプレゼント!

「祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ」の招待券を、5組10名様にプレゼントします。ご希望の方は、タイトルを【「祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ」招待券応募】として、お名前・ご住所・メールアドレスをご記載のうえ、1月4日までにbitecho@bijutsu.pressにメールをお寄せください。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

高橋盾の思考を体感。UNDERCOVER25周年展レポート

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日本を代表するファッションデザイナー、高橋盾。彼の手がけるブランド「UNDERCOVER」は2015年で25周年を迎えました。それを記念した回顧展「LABYRINTH OF UNDERCOVER」が、2015年10月10日〜12月23日、初台にある東京オペラシティ アートギャラリーで開催されました。国内外問わず評価の高いUNDECRCOVERのコレクションの魅力を、余すところなく表現した展示内容を紹介します。

まるで迷路のよう! 高橋盾が織りなすUNDERCOVERの世界観

「LABYRINTH OF UNDERCOVER」は、UNDERCOVERが美術館で行う初の展覧会。LABYRINTH=迷路の言葉通り、広い展示空間に、コレクションルックはもちろん、絵画、デザイン画、映像ブース、人形など、様々なクリエイションが並びました。

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1998 S/S「DRAPE」。本物のドレープと、ドレープをプリントした生地を組み合わせた、初期作品の中でもエレガントさを追求したコレクション

 1990年、高橋が文化服装学院在学中に立ち上げ、瞬く間に裏原系ブランドの代表として人気を集めたUNDERCOVER。その魅力のひとつは、音楽や絵画、現代美術など、他分野のカルチャーに影響を受け、それらが高橋の視点で、ファッションそのものやショーのストーリーラインに落とし込まれている点。展覧会のタイトルとなった「LABYRINTH」は、複雑に入り組みながらもひとつのコレクションを導いていく、高橋の迷路のような思考回路も表しているように感じられます。

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2015-16 A/W「HURT」より

 例えば、こちらは2015-16 A/Wコレクションの「HURT」。その名の通り、切り裂かれたようなスリットや、粉々に砕け散ったガラス片が突き刺さったようなアイテムが登場しましたが、その時出演したモデルが一様に着用していたのがこの透明なマスクです。

 口角の上がったマスクをつけることで、モデルが不自然な笑いを浮かべているような不気味さが感じられるこの演出は、チェコの画家であるミヒャエル・ボレマンスの絵画《MombakkesⅡ》(透明のマスクをつけた人物を描いた作品、2007)にインスパイアされたもの。マスクに覆われた人物の顔は輝いているように見えますが、本当の表情はわからない......。その様子から様々なストーリーを想像させるコレクションになっています。

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2004-05 A/W「BUT BEAUTIFUL....」より

 次に紹介するのは、2004-05 A/W「BUT BEAUTIFUL....」。つぎはぎだらけの鳥の頭や、細かな手縫いのコラージュが印象的なこのコレクションには、フランスのぬいぐるみ作家、アン=ヴァレリー・デュポンが参加しています。アン=ヴァレリーは、ヴィンテージの布地をつなぎ合わせ、動物のぬいぐるみとして新たな命を吹き込む「テキスタイルの彫刻家」と呼ばれる作家。コレクション発表の前年に彼女の作品を見た高橋が、テキスタイルの縫合方法やそのイメージに共感し、このコラボレーションが実現したのだそう。コレクション当日は、アメリカのロックミュージシャン、パティ・スミスのポエトリー・リーディングが流されました。

「WE MAKE NOISE, NOT CLOTHES」

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2000-01 A/W「MELTING POT」。ボタン、金具、裏地などの各パーツや、モデルのヘアメイクに至るまで、すべて特定のモチーフで統一している

 このように各カルチャーが融け合った奥深いコレクションを毎シーズン発表していることが、UNDERCOVERが圧倒的な支持を得るブランドたる所以であると改めて感じさせられる今回の展示。その根底には高橋の、音楽に対する造詣の深さがあるように思われます。

 学生時代、セックス・ピストルズのコピーバンド「東京セックスピストルズ」でボーカルを務めていたことがあり、ジョニー・ロットンに似ていることから「ジョニオ」というニックネームで呼ばれている高橋。UNDERCOVERのファッション自体は決してパンク路線ではありませんが、随所に散りばめられた「破壊」や「頽廃」といったモチーフは、パンク・ロックからの影響が強く出ているようにも感じられます。

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2015 S/S「PRETTY HATE BIRD」。「けがれを知らない少女が強く自立した女性へと変化していく」というストーリーで描かれたショー。ファンタジックながら、後半登場するダークな雰囲気を帯びたドレスは、サイコスリラー映画『ブラック・スワン』を思わせる

 ボロボロの素材、髑髏、奇妙な人形などを通して伝わってくる毒気は、コレクションを一見したときに感じられる「可愛さ」「高貴さ」「ファンタジックさ」に複雑に絡み合います。それを見て思い出されるのが、展覧会場にも掲げられた高橋の言葉「WE MAKE NOISE, NOT CLOTHES(洋服つくってるんじゃなくて、ノイズつくってるんだよ)」。相反するイメージを混ぜることで生まれる歪さは、時に痛々しかったり、不気味だったりもしますが、「服」という形を超えて、見る人の心に確かに訴えかけるものになっています。それこそが、高橋の言う「ノイズ」なのかもしれません。

LABYRINTH OF UNDERCOVER "25 year retrospective"
会期:2015年10月10日〜12月23日(終了)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿 3-20-2
電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:11:00〜19:00(金・土は20:00まで/いずれも最終入場は閉館30分前)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
URL:https://www.operacity.jp/ag/exh181/
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