1970年代に寺山修司が考案した「市街劇」をオマージュし、福島県いわき市平地区の複数会場をツアー形式で巡回する、新しいかたちの芸術祭「カオス*ラウンジ新芸術祭」が今年も開催される。カオス*ラウンジ新芸術祭2016 市街劇「地獄の門」は、初回の「怒りの日」の続編として、市街劇形式を踏襲しながらも、新しいテーマと新しいアーティストたちを加えて行われる。
前回の「怒りの日」では、平安時代の名僧「徳一」、浄土宗の袋中上人、いわきに残る不思議な「浦島伝説」や「死人田」といった「近代以前のいわき」へとさかのぼり、「ありえたかもしれない福島」、「ありえたかもしれない歴史」を描くことで、想像力による「現実からの脱出」が試みられた。
今回の「地獄の門」では、近代以前の歴史、物語から、近現代へと視線を向けている。KOURYOUとサイト制作チームは、「怒りの日」でカオス*ラウンジが扱ったいわきの伝説を徹底的にリサーチし、ウェブ上に広大な「伝説マップ」をつくり上げた。そして、いわきの郷土史家・夏井芳徳の短編小説「キツネ裁判」を「二次創作」し、現代の物語へと変形していく。
また、現代美術家集団であるパープルームは、大正時代に平地区で活動し、洋画家の若松光一郎や詩人の草野心平らを輩出した前衛美術集団「X会」を自らに「憑依」させ、「X会とパープルーム」と名づけられたインスタレーションを展開。岸井大輔は、いわきに残る「龍燈伝説」を震災後の物語として読み替える「戯曲」を制作し、市街劇をいわきの海岸線全域へと拡張する。

キュレーション、演出は黒瀬陽平。参加アーティストは秋山佑太、井田大介、一輪社、井戸博章、梅沢和木、梅田裕、岸井大輔、ク渦群、後藤拓朗、サエボーグ、酒井貴史、竹下昇平、竹下晋平、X会とパープルーム、藤城嘘、吉田重信、KOURYOUとサイト制作チーム。
また同時開催展として、小名浜地区の複数会場を使った市街劇「小名浜竜宮」も開催。平地区で開催される「地獄の門」と同様に、複数会場をツアー形式で巡回させる市街劇形式の展覧会で、いわきに伝わる独特の「浦島伝説」をもとに、16組のアーティストが新作を展示するのであわせてチェックしたい。
「小名浜竜宮」の参加アーティストは秋山佑太、荒木佑介、井田大介、岸井大輔、今井新、中島晴矢、パルコキノシタ、藤城嘘、村井祐希、柳本悠花、山内祥太、KOURYOU、弓塲勇作、 KOURYOUとサイト制作チーム。

会場:もりたか屋(福島県いわき市平三町目34番地)ほか複数会場
開館時間:11:00~19:00
休館日:土日祝のみオープン
入館料:一般 1000円(高校生以下無料)
URL:http://chaosxlounge.com/tgoh
会場:UDOK.(福島県いわき市小名浜本町29−2)ほか複数会場
開館時間:11:00~19:00
休館日:土日祝のみオープン
入館料:無料
URL:http://chaosxlounge.com/tgoh